1998 Fiscal Year Annual Research Report
クラミジアの慢性潜伏感染に対する予防薬・治療薬の確立
Project/Area Number |
09877061
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
岸本 寿男 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90161447)
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Keywords | クラミジア / 潜伏感染 / 動脈硬化症 / 治療薬 / C.pneumoniae / 抗アレルギー剤 / MIC / フラノナフトキノン誘導体 |
Research Abstract |
本年度はトラニラスト以外の抗アレルギー薬、漢方製剤、その他新規の抗菌効果をもつ薬剤について、抗クラミジア効果の有無をin vitroでスクリーニングを行った。その結果、Chlamydia pneumoniaeに対する抗アレルギー剤のMICと細胞増殖抑制濃度(MIC/細胞増殖抑制濃度)μg/mlはMICの低い順にオキサトミド(16/64)、塩酸エピナスチン(32/256)、イブジラスト(32/128)、セラトロダスト(64/256)、塩酸アゼラスチン(64/128)、塩酸オザグレル(256/512<)、プランルカスト水和物(256/512<)、トシル酸スプラタスト(512/512<)、フマル酸エメダスチン(512</512<)であった。したがって、これらのうちMICが低く、細胞増殖抑制濃度の高い抗アレルギー薬は、クラミジア慢性疾患の予防、治療薬になり得る可能性が示唆された。 次に、漢方製剤については5剤検討したが、黄連解毒湯のみがMIC256μg/mlを示したのみで、他はすべて512μg/ml以上で、抗クラミジア効果が期待できるものはなかった。 また、フラノナフトキノン(FNQ)誘導体について、抗クラミジア効果を検討したところ、C.pneumoniac、C.trachomais、C.psittaciに対するMICは、それぞれ0.25〜0.5、1〜2、1〜2flglmIと低濃度であった。Cpncumoniacについては、さらに電顕によっても抗菌効果を確認した。以上のように、抗アレルギー薬の一部とFNQ誘導体はクラミジアの慢性潜伏感染に対する予防薬・治療薬となり得る薬剤として、今後、大いに期待できることが明らかとなった。さらに作用機序についての検討を進め、予防、治療薬の確立をめざす。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 岸本 寿男 他: "トラニラストのクラミジア増殖抑制効果-選択性と作用機序について-" 感染症学会誌. 71(増刊). 98 (1997)
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[Publications] 岸本 寿男 他: "トラニラストのクラミジアとH.pyloriに対する抗菌作用について" 日本化学療法学会誌. 45(suppl B). 110 (1997)
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[Publications] 岸本 寿男 他: "抗アレルギー剤のChlamydia pneumoniaeに対する抗菌活性" 感染症学雑誌. 72(増刊). 133 (1998)
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[Publications] 岸本 寿男 他: "抗アレルギー剤と漢方製剤のChlamydia pneumoniaeに対する抗菌活性" 日本化学療法学会誌. 46(suppl A). 159 (1998)
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[Publications] 岸本 寿男 他: "抗アレルギー剤のChlamydia pneumoniaeに対する抗菌活性" 日本小児アレルギー学会. 12. 188 (1998)