1997 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンスDNA法による誘導型NO産生の特異的抑制の試み
Project/Area Number |
09877233
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丹正 勝久 日本大学, 医学部, 助教授 (10130551)
|
Keywords | Nitric oxide / Antisense DNA / inducible nitric oxide synthase / 敗血症 |
Research Abstract |
重症敗血症時の多臓器不全(MOF)発症を抑制するためには、単球、血管内皮細胞等に発現するinducible nitric oxide synthase(iNOS)に基づいて産生される過剰なnitric oxide(NO)を抑制することが重要であり、その際、生体保護作用を持つと考えられるconstitutive NOSに基づくNO産生を抑制しないことが重要である。研究者はヒト単球、血管内皮細胞のNO産生を特異的に抑制することを目的とし、それぞれのiNOS mRNA塩基配列に対するantisense oligonucleotide(AON)を合成し、このAONがNO産生を抑制し得るかどうか検討した。 【方法】健常成人5例より得た単球(1)および培養ヒト血管内皮細胞(2)をin vitroでそれぞれAON添加群(A1群およびA2群)、非添加群(C1群およびC2群)の2群に分け、IFNγ+LPS刺激下に24時間培養した。次いで、単球、血管内皮細胞iNOSmRNA発現の有無を検討(RT-PCR法)するとともに、培養上清のNO_2値を測定し(Griess法)、両群間で比較した。AONの塩基配列は、単球に対しては5'-TTTCCAAGGACAGGCCAT-3'(AON-1)とし、また内皮細胞に対しては5'-GGCCATCTCTATGGCTTT-3'(AON-2)として合成した。 【結果、考察】iNOSmRNAはA1,A2,C1,C2群とも発現を認め、A群、C群間で差を認めなかった。NO_2値はいずれも、C群(C1:12.9±3.5μ mol/L、C2:2.1±0.8μ mol/L)に比しA群(A1:8.2±4.9μ mol/L、A2:1.0±0.5μ mol/L)が有意の低値を示した。しかしながらAON-1を内皮細胞に、AON-2を単球にそれぞれ添加してもNO2値の抑制はみられなかった。以上よりAON-1は単球の、またAON-2は血管内皮のiNOS発現に基づくNO産生を、それぞれmRNAからNO産生に至るtranslationの段階で特異的に抑制したと考えられる。
|