1997 Fiscal Year Annual Research Report
移植用肝臓の高圧・氷点下保存法の開発に関する実験的研究
Project/Area Number |
09877248
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊藤 徹 北里大学, 医学部, 助手 (30265582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿田 章 北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
佐藤 光史 北里大学, 医学部, 助教授 (40118815)
阿曾 和哲 北里大学, 医学部, 助手 (00159401)
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 助手 (40203187)
高橋 毅 北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
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Keywords | 肝移植 / 肝臓 / 臓器保存 / 実験 / ラット / 氷点 / 高圧 |
Research Abstract |
本年度は実施予定実験のうち、実験1の「圧変化によるUW液の氷点降下の測定と不凍領域の決定」を完了したに留まり、実験2の「形態学的変化からみた肝の至適保存条件の決定」は実験装置の組み立ての遅れのために実施することができなかった。 当年度の実験1の結果をまとめると、以下の如くであった。 1,常圧のもとで純水、生理食塩水、UW液の過冷却温度、凝固点降下を測定、理論値との比較を行って、装置測定系の妥当性を検証した。その結果、純水、生理食塩水、UW液の凝固温度はそれぞれ、-0.3、-0.7、-1.2℃であり、凝固点降下は生理食塩水=0.4℃、UW液=0.9℃であり、理論値と比較して+/-0.2℃の誤差範囲であった。これは溶液の攪拌を行うことで解決でき、実験装置の測定系の信頼性が確認された。 2,上記の実験装置を用いて、UW液の常圧下、300kgf/cm2加圧下での凝固温度の測定を行い、圧力による溶液の凝固点の降下を測定、さらに長時間過冷却状態を維持できるか否か確認した。その結果、UW液の常圧での凝固点は0.2〜-0.2℃、過冷却状態は-4.9〜-3.9℃となった。300kgf/cm2加圧下での凝固点は-3.5〜-2.6℃、過冷却温度は-8.5〜-7.6℃であった。また、300kgf/cm2加圧下でUW液を-2.0℃で30分維持、凍結しないことを確認、さらに、温度を-4.1℃まで下げ長時間放置したところ、4時間までは非凍結状態が維持できた。 今回の実験結果から、UW液を加圧状態・氷点下で非凍結状態に保持できることが確認できた。この結果に基づいて現在、ラット肝専用の加圧・冷却保存容器を作成中である。次年度は本装置を用いて、実験2および3の、ラット肝臓の加圧・過冷却保存後の形態学的変化と実際の移植実験による可移植性の検討を行う予定である。
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