1997 Fiscal Year Annual Research Report
DNAワクチンによる緑膿菌肺炎の予防と治療に関する基礎的研究
Project/Area Number |
09877309
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
工藤 一大 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (30145700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 淳 横浜市立大学, 医学部, 助手 (00181256)
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Keywords | 緑膿菌 / DNA / ワクチン / 肺炎 / ベン毛 |
Research Abstract |
呼吸不全患者はしばしば日和見感染を併発し、不幸な転帰をとる。我々は緑膿菌に対するDNAワクチンが治療効果があるか否かを検討してきた。今年度は、鞭毛抗原遺伝子による緑膿菌に対するDNA免疫法の開発と、その効果を検討した。 緑膿菌のtype a 鞭毛抗原遺伝子に動物細胞で発現するようにサイトメガロウイルスのプロモーターとスプライシング配列を接続し、動物細胞での発現プラスミドを作製した(pCMVflaA)。その発現プラスミドにリポソームであるN-t-butyl-N^1-tetradecy 1-3-tetradecylaminopropionamidine;diC14-amidineとmannanを加え、その溶液をマウスの鼻粘膜に滴下し免疫するDNA免疫法を開発した。この方法で、免疫すると鞭毛抗原特異的な血清中のIgG抗体、糞便中のIgA抗体が産生された。また、細胞性免疫について調べたところ、抗原特異的な遅延型過敏症反応、細胞障害性T細胞の活性が検出された。この免疫の後、抗γインターフェロン抗体を腹腔内に数回投与したところ、IgG、IgA抗体とも顕著に上昇した。これら免疫したマウスの気管中に毛細管を挿入し、10^8-10^9cfuのPAO1株50μ1を接種する感染実験を行い免疫の効果を検討した。感染72時間後に肺を摘出し、PBSを加えホモジナイズし、緑膿菌の生細胞数を計測したところ、免疫した群はしない群に比べ10倍以上菌数が少なかった。また抗γインターフェロン抗体により特異的抗体産生を増加させた群で、pCMVflaAのみの免疫群との有為な差はなかった。これらの結果より、鞭毛抗原遺伝子によるDNAワクチンは感染防御能を増強させる可能性が確認された。
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