1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09877379
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
虫本 栄子 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (50131397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邊 忠輝 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (30285639)
田中 久敏 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (30118278)
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Keywords | 咀嚼運動 / 加齢 / 運動関連脳電位 / 脳波 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
高齢者においては,摂食・咀嚼の観点からも咀嚼運動調節機構の中枢機序の加齢変化の解明が望まれる.本研究では,新しい義歯を装着された患者の咀嚼運動の習熟から成立までの順応過程について運動関連脳電位の変化を観察し,安定した咀嚼運動リズムの成立機序を中枢レベルで神経生理学的に明らかにしたいと考えた. しかし,咀嚼系の脳電位観察には顎・顔面領域からの筋電位混入が避けられなかったことから,まず,成人有歯顎者を対象として(1)咀嚼運動前後の脳波にどのような変化が生じるのか,(2)食品差は脳波にどのよう影響するのかを明らかにすることを目的に咀嚼運動前後の脳波を観察し,その変動因子を詳細に検討して評価パラメータを確立することを試みた.脳波は,国際10-20方式に従って通法どうり導出・記録した. 結果として,硬軟の食品差や左右の咀嚼側差はあるものの概して,咀嚼後にα波およびβ波の平均電位が増強し,各周波数帯域の含有率の速波成分(%αと%β)が増加,徐波成分(%δと%θ)が減少したことなどが傾向として観察できた.すなわち,咀嚼後にα波のパワーが増加した事実,軟性食品と,硬性食品咀嚼では左または右の噛んだ側で徐波成分と速波成分のパワーの増減が逆の消長を示し,咀嚼運動の円滑性の評価として周波数帯域の各波の含有率を観察することは咀嚼運動を中枢レベルで評価する指標として有用と考えられ,とくにα波のパワーの増加がひとつの指標になることは明らかであった. 今後は,各高齢年代の被検者について事象関連電位による検討を加え,加齢との関連を追究し評価パラメータの信頼性を高めるとともに,義歯(総義歯および局部床義歯)装着など咬合治療を行った患者の臨床例について経時的に観察するなど,円滑な咀嚼運動の習熟過程と大脳の活動との機能関連を明らかにし,あわせて,咀嚼運動の大脳に対する刺激源としての寄与を明らかにしたい
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