1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09878024
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
野尻 亘 桃山学院大学, 文学部, 教授 (70208346)
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Keywords | 国際物流 / 貿易 / 海上コンテナ / OD行列 / 因子分析 / 貨物流動 / 運賃と輸送距離 / 物流 |
Research Abstract |
国際物流において、海上コンテナ輸送は近年ますます重要性を増しつつある。特に、最近の産業内貿易や企業内貿易の増加、国際的な垂直的分業体側の確立・多品種少量生産といった諸変化に対して、工業製品や加工農産物を中心とする海上コンテナ輸送の地域間流動パターンはどのような変化を示しつつあるのだろうか。地域統合の形成を受けてよりブロック内の流動が盛んとなるのか、あるいはいっそうのグローバル化が進行しているのだろうか。そこで、本研究では世界全体の海上コンテナ貨物流動パターンの構造を主要地域間ならびに主要品目別に分析することとした。 そこで、まず国連・0ECDならびに海外およびわが国の海事調査機関から海運制度・コンテナ制度・運賃と輸送距離、輸送コストとの関係ならびにOD行列について資料の広範な入手につとめた。しかし、それぞれのOD行列は国(地域)や港湾によって重量(容積)単位・品目区分・集計期間や方法・精度について千差万別であり、統一して比較できるデータベースづくりから始めざるを得なかった。 そして、0ECD作成の1995年の品目別の主要地域間の0D行列に因子分析を適用した。その結果、中国・アジアNIEs・ASEANにおけるコンテナ取扱い量が急増し、アジアの巨大ハブ港湾が形成されてきたことを背景として、以下のような流動パターン(概要)が明らかとなった。米国・日本・欧州ともに、中国・NIEs・ASEANからの軽工業品・電気製品の輸入が急増していること。欧州は各種工業製品と加工農産物の輸出がバランスがとれている。米国は欧州および日本に穀物・加工農産物・紙パルプ・化学製品の輸出が抜きんでている。日本は中国およびアジアについては、化学製品・電気製品の輸出に特化する一方、欧米にむけては一般機械と自動車工業品に特化している。その他、オーストラリアは各種工業製品の輸入で日本と、アフリカ・中東は欧州と、南米は米国および南欧との間でそれぞれやや強い流動パ-タンが認められた。さらに、空間的相互作用モデルを応用した解析を現在進めつつある。
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[Publications] 野尻 亘: "経済地理学と物流研究" 運輸と経済. 57巻4号. 41-50 (1997)
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[Publications] 野尻 亘: "わが国の高速道路における交通流動" 李刊地理学. 48巻2号. 115-136 (1996)
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[Publications] 野尻 亘: "わが国における産業構造の転換と物流の変化" 経済地理学年報. 42巻2号. 23-39 (1996)
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[Publications] 野尻 亘: "地理学における物流研究の展開とその課題-近年のアンクロサクソン系諸国の研究を中心として-" 人文地理. 47巻5号. 65-84 (1995)
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[Publications] Nojiri,W.and Ishikawa,Y.: "Physical Distribution Studies in Japanese Geography" Progress in Human Geography. Vol.18 NO.1. 40-57 (1994)
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[Publications] 野尻 亘: "全国陸上輸送体系における貨物流動パターン" 経済地理学年報. 39巻2号. 40-58 (1993)
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[Publications] 野尻 亘: "日本の物流-産業構造転換と物流空間-" 古今書院, 251 (1997)