1997 Fiscal Year Annual Research Report
宿主側の液性因子に依存するマラリア原虫細胞の増殖制御機構の解析
Project/Area Number |
09878161
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三田村 俊秀 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80268846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田井 久美子 大阪大学, 微生物病研究所, 教務職員 (00187907)
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Keywords | マラリア原虫 / 細胞増殖 / Plasmodium falciparum / 脂質 / 血清アルブミン |
Research Abstract |
申請者は、マラリア原虫の細胞増殖における血清中因子の役割を解析するために血清中の必須因子の精製を行った。通常原虫細胞の培養には、ヒト血清を用いるが、精製においては不都合な点が多いので、代替えとなる成牛血清の硫安沈殿画分(Daigo'sGF)をゲルろ過カラムクロマトグラフィーにより分画した。細胞増殖促進活性のピークは、見かけの分子量67kDaの蛋白質のピーク(ウシ血清アルブミン画分)に一致した。また、Daigo'sGFの増殖促進活性は熱処理に部分的に耐性であった。一方、ウシ血清アルブミン(BSA)の機能の一つとして脂質の輸送蛋白質であることが知られている。これらの知見から、脂質を保持したBSA(lipid-richBSA)と脂質フリーのBSA(lipid-freeBSA)を比較したところ、lipid-freeBSAのみに活性が見られた。さらに、lipid-richBSAから脂質成分を抽出後、lipid-freeBSAに再構成させたところ活性が回復したことから、増殖に必須な因子はBSAに結合している脂質成分と結論した。 つぎに、原虫細胞の増殖に必須な脂質成分を同定するために、BSAより抽出した全脂質画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、中性脂質と極性脂質とに分画し増殖促進活性を測定した結果、中性脂質のみに活性が見られた。また、中性脂質画分を薄相クロマトグラフィーにより成分分析したところ、脂肪酸、コレステロール、コレステロールエステルがその主成分であり、その中の脂質酸成分だけを加えることによりほぼもとのlipid-richBSAと同レベルの増殖促進活性があることが明らかとなった。現在、ヒト血中に存在する脂肪酸のなかで、原虫細胞の増殖にとって必須な脂肪酸分子の同定を行っている。
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