2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09CE2007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸本 忠三 大阪大学, 医学系研究科, 総長 (10093402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊谷 仁 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (80161412)
木下 タロウ 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10153165)
山西 弘一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10029811)
審良 静男 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (50192919)
清野 宏 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10271032)
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Keywords | 感染症 / 免疫病 / サイトカイン / 自然免疫 / ヒトヘルペスウイルス6 / GPIアンカー / セマフォリン / 粘膜免疫 |
Research Abstract |
岸本忠三 1)JAKの制御蛋白として同定されたSOCS-1(Suppressor of Cytokine Signaling-1)が、in vivoで、インスリンシグナルにより、誘導されIRS-1およびインスリン受容体に結合しているJAKと結合することにより、それぞれの活性化を抑性してインスリンシグナルを阻害していることを明らかにした。 2)SOCS-1がIFN-γのIL-4しぐなる制御に重要な作用をもつ分子である事を、SOCS-1/STAT1およびSOCS-/STAT6duble KO miceの解析により明らかにした。 山西弘一 1)カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)の前初期遺伝子ORF50の機能を解析した。ORF50は、KSHVの再活性化の最も初期に発現し、様々なウイルス遺伝子の転写を促進する。我々は、ORF50が転写因子Oct-1を介して、自分自身の転写を促進する事を見出した。このことは、KSHVの再活性化がORF50の発現を起点として、効率よく行われる事を示していた。 2)ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の潜伏感染特異的に発現する遺伝子を4種類同定した。これらは、HHV-6の増殖を開始させる遺伝子であるIE1またはIE2遺伝子の翻訳領域を持っていた。しかし、IE1/IE2蛋白の潜伏感染時の発現はその5'-非翻訳領域の構造によって抑制されており、この遺伝子が潜伏感染・再活性化を制御する遺伝子である事が示唆された。 木下タロウ 1)ヒトのGPIアンカー生合成遺伝子群に関し、新たに3つの遺伝子をクローニングし、機能を明らかにした。 2)病原微生物のGPIアンカーに関し、GPIアンカーが睡眠病トリパソーマに必須であり、その生合成が宿主には存在しない2遺伝子に依存することを発見して、抗原虫薬の標的になることを示した。 3)発作性夜間血色素尿症の発症機構に関し、GPI欠損細胞の細胞障害性リンパ球に対する抵抗性と、良性腫瘍の原因遺伝子であるHMGI-Cの1症例での変異を見出した。これに基づき、PIG-Aの体細胞変異、自己免疫的環境によるPIG-A変異幹細胞の選択的増殖、第2の遺伝子変異の発生、の3段階発症モデルを示した。 清野宏 粘膜免疫システムのユニーク性の代表格である腸管上皮細胞間リンパ球(IEL)の発達メカニズム解明に向けて、マウスRae-1bのヒトホモローグであるMICA
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分子をT3b promoterを用いて腸管局所に発現させた遺伝子導入(Tg)マウスを作製した。すると、CD4/CD8αα両分子を発現した胸腺外分化IELのpositive selectionが著しく亢進することを見い出した。この所見から環境ストレス誘導性MHC class Ib分子がIELの発達分化を制御することが示唆された。一方、粘膜ワクチン開発に向けて新規ハイブリッド型Fusogenic-liposomeとrBCGデリバリー法の開発を進めた。HIV抗原(例:gp160とV3J1)を封入、もしくは発現させた経鼻免疫するとHIVに対する中和効果のある抗原特異的免疫応答が誘導できることが確認された。 菊谷仁 CD100がCD40による樹状細胞のIL12産生や免疫原性を相乗的に増強すること、CD100欠損マウスのT細胞はin vitroおよびin vivoにおいて抗原特異的なエフェクターT細胞に分化できないことを明らかにした。また、抗CD72抗体はCD100と同様に樹状細胞の活性化を増強した。すなわち、CD100とその受容体であるCD72を介したT細胞一樹状細胞相互作用がT細胞の活性化に必要であることが明らかになった。 樹状細胞から、新たなクラスIVセマフォリンSema4Aをクローニングした。リコンビナント可溶性Sema4Aがin vitro及びin vivoでT細胞の活性化分化を増強し、抗Sema4A抗体力MOGペプチドによって誘導される実験的自己免疫脳脊髄炎を抑制することから、Sema4AがT細胞の活性化において重要な役割を果たしていることが明かになった。 NODマウス由来の膵島反応性T細胞クローンが認識するペプチドモチーフを同定し、さらに種々の膵島反応性T細胞クローンのこのペプチドモチーフに対する反応性を解析した。その結果、非常に多様な膵島反応性T細胞が同一のペフチドリガンドを認識していることが明らかになった。 審良静男 イミダゾキノリン(imidazoquinolines)、ImiquimodとR-848(Imiquimodの誘導体で100倍活性が強い)は、現在、新たな抗ウイルス免疫賦活剤としての注目を浴びている。Imiquimodは、ヒトパピローマウイルスによって引きおこされる尖型コンジロームの治療薬として使われている。今回、このような合成化合物が、Toll-like receptorファミリーメンバーのうちのTLR7を活性化することを見いだした。TLR7ノックアウトマウスでは、IFN-aをはじめとする各種サイトカインの産生の誘導が免疫細胞から見られなかった。また、TLRの下流のシグナル伝達分子の活性化も消失していた。このことは、TLR7が生体内へのウイルスの侵入を感知する受容体である可能性も示唆している。 Less
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Kawazoe, Y., Akira, S, Kishimoto, T.et al.: "SOCS-1/SOCS-1 family proteins inhibit insulin signal transduction pathway through modulating IRS-1 phosphorylation"J. Exp. Med.. 193. 263-269 (2001)
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[Publications] Naka, T., Kishimoto, T., et al.: "SOCS-1/SSI-1-deficient NKT cells participate in severe hepatitis through dysregulated cross-talk inhibition of IFN γ and IL-4 signaling in vivo"Immunnity. 14. 535-545 (2001)
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[Publications] Sakakibara, S., Yamanishi, K., et al.: "Octamer-binding sequence is a key element for the autoregulation of Kaposi's sarcoma-associated herpesvirus ORF50/Lyta gene expression"J. Virol.. 75(in press). (2002)
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[Publications] Kondo, K., Yamanishi, K., et al.: "Identification of human herpesvirus 6 latency-associated transcripts"J. Virol. 76(8):in press 2002. 78(in press). (2002)
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[Publications] Maeda, Y., Kinoshita, T.et al.: "PIG-M transfers the first mannose to glycosyl phosphatidylinositol on the lumenal side of the ER"EMBO J.. 20. 250-261 (2001)
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[Publications] Ohishi, K., Kinoshita, T.: "PIG-S and PIG-T, essential for GPI-anchor attachment to proteins, form a complex with GAA1 and GPI8"EMBO J.. 20. 4088-4098 (2001)
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[Publications] Hiroi, T., Kiyono, H., et al.: "HIV mucosal vaccine : nasal immunization with rBCG-V3J1 induces a long-term V3J1-peptide-specifi neutralizing immunity in Th1 and Th2 deficient conditions"J. Immunol.. 167. 5682-5867 (2001)
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[Publications] Kunisawa, J., Kiyono, H., et al.: "Novel antigen delivery system using Fusogenic liposome for the induction of mucosal and systemic immune responses"J. Immunol.. 167. 1406-1412 (2001)
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[Publications] Kumanogoh, A., H.Kikutani: "The CD100/Seffla4D-CD72 interactions: a novel mechanism of immune regulation"Trends in Immunology (formerly known as Immunology Today). 22. 670-676 (2001)
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[Publications] Watanabe, C., Kikutani, H.et al.: "Enhanced immune responses in transgenic mice expressing a truncated form of the lymphocyte semaphorin CD100"J. Immunol.. 167. 4321-4328 (2001)
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[Publications] Kawai T, Akira S., et al.: "Lipopolysaccharide stimulates the MyD88-independent pathway and results in activation of IFN-regulatory factor 3 and the expression of a subset of lipopolysaccharide-inducible genes"J. Immunol.. 167. 5887-5894 (2001)
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[Publications] Hemmi H, Akira S., et al.: "Small anti-viral compounds activate immune cells via the TLR7 MyD88-dependent signaling pathway"Nat Immunol.. 3. 196-200 (2002)