2010 Fiscal Year Annual Research Report
第二次世界大戦後における中国居住朝鮮人に関する研究
Project/Area Number |
09F09001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
外村 大 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Haiyan 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 東アジア近現代史 / 中国現代史 / 北朝鮮研究 / エスニシティ / マイノリティ / 民族問題 |
Research Abstract |
受入研究者である外村大と外国人特別研究員LI Haiyanは、在日朝鮮人の歴史と中国朝鮮族の歴史との比較研究を共同で進めている。本年度において、LI Haiyanは日本で資料調査を行ったほかに、2010年8月下旬にソウルを訪れ、主に韓国政府の統一部傘下にある北韓資料センター、国立国会図書館で資料収集を行った。韓国の研究者と交流し、その縁で韓国の研究成果を日本の学会誌に翻訳・紹介することができた。 LI Haiyanは、「大躍進・文革期における少数民族地区に対する統合のプロセスに対する一考察-延辺朝鮮族自治州を中心に」という題目で、学会発表が確定されている。1957年秋から延辺では反地方民族主義キャンペーンが始まり、自治区域の拡大や地位の向上を求めるなど「分離主義傾向」は、中国共産党の政策に逆らうものだと非難された。朝鮮族のリーダーは失脚し、たくさんの幹部・知識人たちが北朝鮮へ渡る厳しい時期がやってくる。この報告では、朝鮮族とほかの跨境民族、例えばモンゴル族、ウィグル族問題との比較研究つまり、その共通性、特殊性を見出す努力をしている。中国の国家統合と少数民族問題は重要な関連を持ち、その時々の国際情勢および国内政治と絡み合って、複雑な様相を展開する。少数民族のなかでも、国境地域に居住し、国境の向うに出身民族の国家が存在している跨境民族の問題はさらに複雑である。そして、第二次世界大戦終了後の在中国朝鮮人と在日朝鮮人の処遇との比較の視点も取り入れている。 昨年度において、LI Haiyanは『戦後の満州と朝鮮人社会-越境・周縁・アイデンティティ』(御茶の水書房)を出版した。本書は、『歴史学研究』(875号、2011年1月)と『中国研究月報』(64(3)、2010年3月)に書評が掲載されたほか、各研究会でも取り上げられた。LI Haiyanは様々な感想・コメントを今後の研究に活かす所存である。
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Research Products
(3 results)