2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本語史における漢文訓読語の位置-和漢混淆の観点から-
Project/Area Number |
09F09007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
月本 雅幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALBERIZZI Valerio Luigi 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 和漢混淆文 / 文体 / 漢文訓読 / 訓点資料 / 記録体 / 古典日本語 |
Research Abstract |
古典日本語の文体として,和漢混淆文と呼ばれるものがあることは広く知られているが,それが具体的にどのようなものであるかについては,和文調と漢文訓読調と当時の俗語を交えたものであるという他には曖昧な点が多く残っているのが実情である。そこで本研究課題においては,その概念の明確化と,和漢混淆文の実態の分析に関する方法論を確立し,それに従って具体的な作品を分析しようとするものである。 昨年度は和漢混淆文の概念を検討し,それを従来しばしば考えられていたような和の要素と漢の要素のみの混淆したものとは考えず,和(和文語),漢(漢文訓読語),変体漢文(和化漢文)の混淆したものととらえ,これら3要素の配合によって成立したものと考え,そして,さらにそれを表記,語彙,統語法(文法)の3側面に分かち,それぞれがどの程度の強さを持っているかを計り,それを総合してある文章の文体がどのようなものであるかを把握するというモデルを構築した。 本年度はこのモデルを使い,特に表記の側面に重点を置いて,具体的な作品として「興福寺本日本霊異記」を取り上げてその表記の様相を分析した。また,諸文体に取り入れられた漢文訓読語の実態を知るために,広く古訓点資料を調査し,特にその語彙や統語法に重点を置いて検討を加えた。 さらにこれらの成果を欧米の研究者に広く発信するために,英語とイタリア語の論文にまとめて公表した。
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Research Products
(4 results)