2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 早苗 東京大学, 史料編纂所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAFFIN Christina 東京大学, 史料編纂所, 外国人特別研究員
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Keywords | 古記録 / 中右記 / 貞信公記 |
Research Abstract |
「古記録」(漢文日記)は、貴族が政務を中心として詳細に記したものとして、日本史学の主要な史料である。しかし読解には基礎知識と習熟が必要であり、まとまった英訳はないに等しかった。本研究では、古記録の英訳に関して、吉田が主導しラフィン助教授が協力者となった先行する2つのプロジェクトの成果を基礎として発展させる事を目指した。それは『貞信公記』の一年間の記事の全文英訳プロジェクトおよび、「古記録の全文翻訳と歴史用語の体系的・整合的な訳語の決定に関する研究」、すなわち制度・官職・組織などの歴史用語の適切かつ体系的な訳語の研究、とくに官職等の対訳語の研究である。 研究の開始として、2009年夏にアメリカ南カリフォルニア大学において開催され、吉田を講師としラフィン助教授が参加した「古記録」読解ワークショップに関して、そのテキストで院政期の重要な史料である右大臣藤原宗忠の日記『中右記』について、英訳のための予備研究を行った。成果は直ちにワークショップにおいて生かされ、終了後は引き続き主催者ジョーン・ピジョー教授と協力し、作成された『中右記』の英訳草稿をもとに、出版のために必要な英訳の厳密化・補注の作成などを行なうとともに、先行研究により収集した官職等の対訳語を基礎に体系的な訳語の選定を試みた。ただ09年12月に予定されていたプロジェクト会合がピジョー教授の都合により10年6月に延期されたため、計画完了日を10年9月末に変更し、6月の会合に両名で参加して、当初の計画で予定した優れた英訳をほぼ得ることができ、体系的な訳語の選定にも有効な知見が得られた。またラフィン助教授は、10年3月パリで開催されたシンポジウム「源氏物語と女流日記文学」において、研究の成果の一端を発表した。
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Research Products
(3 results)