2009 Fiscal Year Annual Research Report
新公開資料に基づく東北アジア冷戦と日韓国交正常化交渉に関する研究
Project/Area Number |
09F09011
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
浅野 豊美 Chukyo University, 国際教養学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Dongjun 中京大学, 国際教養学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 日韓関係 / 国交正常化 / 冷戦 / 脱植民地化 / 請求権 / 賠償 / 講和条約 / 東アジア地域秩序 |
Research Abstract |
李氏との共同研究によって、戦後の日韓関係がアメリカによる占領期を経て、植民地から国家間関係へと生まれ変わる過程に関する基礎資料集を、韓国側の資料を大量に翻訳することで、より充実したものとすることができた。また、韓国語で出版された戦後初期の『戦争賠償調書』は漢字・ハングル混じりの資料であるが、それに日本語ルビをつけるという形で、独特な翻訳形態をもって、出版にこぎつけようとしている。これらは、この外国人共同研究プロジェクトの独自の成果として、付属資料集の刊行となる予定である。また、前述の資料集自体は、他の科研費プロジェクトと合同の成果であるが、李東俊氏が韓国側公開資料を日本語へと厖大な手間と暇をかけて翻訳してくれたおかげで、それを日本語資料と対照させ、より立体的な歴史イメージを喚起できるものとなったと自負する。 また、そうした新規公開資料を使った成果は、二人が夫々論文にまとめ、学内のプロジェクトとも連携しながら、同じ学内雑誌に投稿した。私は、日韓間の請求権一般の問題が、国内政治と国際政治にまたがる性格のものであることをものがたることを資料紹介し、李氏は船舶問題の展開を、それが請求権問題を左右する試金石としての性格を持っていたという観点から、詳細に裏付けた。さらに、二年目には、アジア関係学会での共同発表を予定している。 日韓の間のもつれた感情を解きほぐすために、資料実証的な研究手法は、大いに意味のあるものであることが了解される日々も近い。つまり、感情やモラルの問題は、実証研究による価値中立性と対比されるべき問題ではなく、実証研究に基づいてこそ、そうした感情的な問題が絡まった政治問題の深い再編のあり方が、追求できるのではないかとさえ感じられるほどである。まことに時機を得た共同研究であり、精力的にそれを推進することができた。
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Research Products
(2 results)