2009 Fiscal Year Annual Research Report
後発開発途上国における産業立地の集中と分散:バングラデシュの事例
Project/Area Number |
09F09014
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
園部 哲史 National Graduate Institute for Policy Studies, 政策研究科, 連携教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOTTALEB Khondoker 政策研究大学院大学, 政策研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 産業集積 / 産業発展 / 企業調査 |
Research Abstract |
21年度はケミカルシューズ生産者の集積地において企業調査を行う予定であったが、頼りにしていた研究協力者の都合で延期せざるを得なかった。この調査は最近ようやく再開し、生産者の台帳を作るための悉皆調査が8割かた終了したところである。 かわりに、22年度に計画していた調査を前倒しして実施した。これは首都ダッカからバングラデシュ北部に飛び火したニットウェア生産の集積地であり、生産者150社から生産、費用、マーケティング、経営者の経歴などのデータを収集し、分析を行って論文の初稿を作成した。経済発展のプロセスにおいて、貧困からの本格的な脱出に最大の貢献をするのは非農業部門、特に製造業の発展であることがさまざまな実証研究によって確認されている。製造業は大都市で発展することが多いが、地方都市や場合によっては農村で発展することも少なくない。産業の地理的構造がいかに展開するかについて実証的な研究はこれまでほとんど行われていない。本研究はひとつの事例に過ぎないが、原料(毛糸)のリサイクル、製品の模倣、技術の移転などを通じて大都市の同業者を利用しながら販路を開拓し、生産を拡大する経済的なメカニズムがデータによって語られるという長所のある研究になった。 この調査に加えて、バングラデシュへの出張中にもう一つ別の企業調査を行った。それはダッカ旧市街に密集する金属加工業者からの聞き取り調査である。人口密度が非常に高いバングラデシュのなかでも、特にすさまじい混雑のなかで、この金属加工業やそれに関連する都市型産業は操業を続けている。近い将来、この業者たちは郊外にインフラが整い広々とした代替地を与えられる計画がある。それが実現して移転したあかつきには、この調査で収集したデータは、混雑がいかに生産性や産業の発展を阻害するかを数量的に分析するための貴重なデータとなると考える。
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Research Products
(5 results)