2009 Fiscal Year Annual Research Report
重いクォークを含む新しくエキゾティックなハドロンの動的性質の研究
Project/Area Number |
09F09027
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡 真 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Yan-rui 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ハドロン / クォーク / チャームクォーク / QCD |
Research Abstract |
本研究計画では、特別研究員として8月末に北京(中国)より着任したLiu氏と共同研究を行った。主なテーマとして、チャーム・ボトムクォークを含むハドロンの相互作用に注目し、メソン間の引力によって生じる束縛状態や、メソン生成反応における終状態相互作用の効果など、D,Bメソンのダイナミクスを研究した。ヘビークォーク対称性を用いて、メソン間相互作用を求め、束縛状態の可能性を調べた。その結果は、現在解析して、論文としてまとめているところである。また、同様にチーム、ボトムを含むバリオンについても研究を開始した。主な結果は以下の通りである。 (1)D-反Dメソン間の中間子交換力を計算し、S波とP波での相互作用による散乱断面積と束縛状態の有無を調べた。その結果、形状因子のパラメータに強く依存するものの、物理的に妥当な範囲のパラメータをとると、P波には束縛状態がなく、その結果として、電子-陽電子散乱によるD-反Dメソン生成断面積に見られるエネルギー分布異常はD-反Dメソンの相互作用によっては説明できないことを明らかにした。(arXiv:1005.2262として発表済) (2)チャームを含むバリオンが原子核に束縛されるチャームハイパー核の生成の可能性を探るため、チャームラムダ、チャームシグマと核子の相互作用を定量的に評価した。中間子交換力を評価するために、重クォーク対称性を用いてチャームバリオンと中間子の結合定数を見積もった。その結果、チャームラムダ、チャームシグマおよびその励起状態との結合が、相互作用の評価に重要であることを指摘した。
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