2010 Fiscal Year Annual Research Report
サマリウム、イッテルビウムを含む重い電子系化合物における局在-非局在の研究
Project/Area Number |
09F09036
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
小原 孝夫 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GABRIEL Pristas 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 局在・非局在 / イッテルビウム / サマリウム / 重い電子系 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
4f^5-4f^6の電子状態を取り得るサマリウム(Sm)を含む化合物において磁性-非磁性転移の詳細を調べるため、SmB_6について系統的な圧力下NMR(核磁気共鳴)測定を行った。 1)2.5GPaまでの圧力領域下における^<11>B-NMR測定 常圧と1.5,2.5GPaの圧力下においてスピン-格子緩和時間T_1の温度依存性を測定した結果、特に100K以下で系統的な圧力変化が観測された。そこから絶縁体ギャップの圧力変化を求めたところ、これまで電気抵抗測定からの報告よりも急峻に減少することが分かった。これは、T_1が圧力増加に伴って絶縁体ギャップが減少する効果だけでなく、Sm価数が2価(非磁性)から3価(磁性)への移り変わりも反映するからだと考えられる。NMR測定によってSmB_6の高圧下状態が調べられたのは本研究が初めてであり、その結果は論文と、国際会議(CSMAG'10、ICHE 2010)にて報告した。 2)単結晶試料を用いた^<11>B-NMR測定 SmB_6の常圧下NMRの報告では、低温領域におけるT_1の値に差異があり、その原因は不明であった。しかし、本研究で単結晶試料の角度を磁場に対して精度よく制御した測定を行ったところ、T_1の値に異方性があることが明確になった。このことが、全角度の平均値が得られる粉末試料測定と、ある特定の角度成分のみが抽出される単結晶試料測定との間に生じた差異の一因であると結論された。 3)超高圧下^<11>B-NMR測定 SmB_6の磁性-非磁性転移は過去の報告から7-10GPaとされており、この臨界圧力近傍での超高圧下NMR測定を実現するため、産業技術総合研究所(竹下直研究員)や千葉大学(小堀洋教授)との共同研究を行った。平成22年度中盤より幾度か千葉大学を訪問し、超高圧の発生を試みたが、残念ながらNMR測定には至っていない。現在もなお、高圧発生技術の改善に取り組んでいる。
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