Research Abstract |
本研究では,生物活性天然物の探索研究の一環として,当研究室独自の放線菌菌株ライブラリーの構築を行った.土壌放線菌のみならず海洋性放線菌の菌株も対象とし,また,構築した菌株ライブラリーの中から,種々のスクリーニングに基づき新規天然物の探索を行っている. 1.放線菌株ライブラリーの構築:まず,千葉県内房地区(木更津,君津,館山,南房総地区等)において土壌,海水ならびに海砂の採取を行った.採取したサンプルから,HV培地を始めとする放線菌分離用培地上でコロニーを形成させることにより,放線菌株の分離を行った. 2.スクリーニング:1菌株での純培養が可能となった菌株に対して,小スケール培養を行い,培養液をエタノール抽出することにより,スクリーニングサンプルを調製した.得られたエキスに対して,当研究室に保有するトレイル,ウィントシグナルなどシグナル伝達経路を標的としたスクリーニングを行った.一方,薄層クロマトグラフィーを用いたケミカルスクリーニングについても詳細に検討し,興味深い化学成分の存在が期待される複数の菌株を選別した. 3.新規天然物の単離:選別した菌株の一つ千葉市土壌サンプル由来のStreptomyces sp. IFM 11260株について拡大スケールで培養し,その抽出物を各種クロマトグラフィーによって分画精製を行った結果,3種の新規フェナジン配糖体を単離した.一方,千葉県香取市産土壌サンプルより分離した一放線菌株からは,フェニルヒドラゾン構造をもつユニークな新規アザキノン化合物を単離した.
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