2010 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性アルカリ土類金属錯体を活用する触媒的不斉合成反応の開発研究
Project/Area Number |
09F09045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 修 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIMENEZ-AQUINO Agustin 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 触媒 / アルカリ土類金属 / アリル化反応 / ニッケル / ホウ素 |
Research Abstract |
本年度は、アルカリ土類金属を活用するアリル位置換反応の開発に焦点を当てて検討を行った。遷移金属触媒を用いる炭素求核剤によるアリル位置換反応は、有機合成化学上重要な分子骨格構築反応である。これまで、アリルアセテートやアリルカーボネートを用いる反応は種々報告されているが、それらの代わりにアリルアルコールを用いる反応は、その有用性に反してあまり検討が行われていない。アリルアルコールはアリルアセテートやアリルカーボネートを合成する原料となる化合物であり、この化合物を直接アリル位置換反応の原料として使用することは、原子効率に優れた化学プロセスの開発において非常に魅力的である。しかしながらこの化合物の問題としては、ヒドロキシ基の脱離能の低さに由来する基質としての反応性の低さが挙げられる。一方で、これまで当研究室ではアルカリ土類金属触媒を活用する合成反応開発研究を推進しており、最近アルカリ土類金属上に様々な分子を活性化できる有意なルイス酸性が存在することを明らかにしている。そこで、アルカリ土類金属によるヒドロキシ基の触媒的活性化を鍵とする、遷移金属触媒とアルカリ土類金属触媒を同時に活用するアリルアルコールの触媒的アリル位置換反応の開発を計画した。求核剤としては穏和なアリル化剤であるアリルホウ酸エステルを用い、触媒として様々な遷移金属触媒とアルカリ土類金属ルイス酸の組み合わせの検討を行ったが、望みの反応は進行しなかった。一方で、ニッケルを触媒として反応を行った時には、高温が必要であるものの特にルイス酸活性化剤を用いずとも目的とするアリル位アリル化反応が進行することを見いだした。さらに反応条件を最適化することで、本反応が比較的低温でも進行することを明らかにし、原子効率に優れたアリル位アリル化反応を実現することができた。
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Research Products
(1 results)