2009 Fiscal Year Annual Research Report
π共役系超分子の構築と有機エレクトロニクスへの応用
Project/Area Number |
09F09046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 栄一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朱 暁張 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | インデン / インダセン / π共役 / 機能性材料 / 有機合成 / 両極性材料 / 発光性材料 / 有機金属化学 |
Research Abstract |
ベンゾジフラン(BDF)・ベンゾジピロール(BDP)類の新規合成法を開発し,それらが優れた新規p型材料として機能することを見出している.そこで,ヘテロ元素を有さない炭素のみの骨格からなるs-インダセン(s-Ind)の開発を行った.炭素骨格のみからなる材料を構築する理由は,ヘテロ元素-炭素結合の開裂などによる材料の劣化を防ぎ,デバイスの安定性や長寿命化につながるのではないかと考えたためである.インデン骨格合成をモデル反応として,種々検討の結果,1-アルキニル-2-ジフェニル(メトキシ)メチルベンゼンを基質として用い,還元剤であるリチウムナフタレニドをこれに作用させることにより分子内環化反応が良好に進行し,熱力学的に安定かつ化学反応性に富んだ3-リチオインデン中間体が定量的に得られることを見いだした.本中間体を合成モジュールとし,様々な置換基を有するインデンならびにインダセン誘導体を良好な収率で得た.この方法により合成した化合物のうち,オクタフェニル置換ジヒドローs-インダセンは,高い量子収率で青色蛍光(蛍光量子収率0.82)を示し,正孔・電子ともに10^<-3>cm/Vsec台前半のバランスよくかつ高い電荷移動度を示す両極性材料であることが明らかとなった.さらに,この方法を用いて,ジインデノインダセンを合成した.この化合物はフェニレンビニレンが炭素架橋により縮環した完全平面π電子系化合物であり,青色蛍光(蛍光量子収率0.97),正孔・電子ともに10^<-3>cm/Vsec台半ばの極めて高い電荷移動度を示すことを見出した.このように,新しい骨格のもつ優れた光学的,電子的特性を見出した.
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Research Products
(2 results)