2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性有機ホウ素材料のための新たなホウ素置換基の開発
Project/Area Number |
09F09047
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 茂弘 名古屋大学, 理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHOU Zhiguo 名古屋大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ホウ素 / π電子系 / ルイス酸 / フリーデルクラフツ反応 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
ホウ素修飾機能性材料の開発では,いかに安定化するかが鍵を握る.我々は,ホウ素に導入する三つのアリール基をメチレン鎖などで架橋し平面構造に強固に固定化することで,ホウ素上の立体保護がなくても化合物が安定化できるのではないかと考えた.このアイデアのモデル化合物として,平面固定型の三配位トリアリールボランを設計し,その合成をとれまでに達成している.本年度は以下の2点について検討を行った. (1)平面固定型トリアリールボランの合成法の確立:これまでにビス(2-プロペニル)フェニル基をホウ素上にもつ10,10-ジヒドロ-9-ボラアントラセンの分子内二重Fdedel-Crafts反応により,平面固定トリアリールボランの合成を達成していた.今回,この化合物から二段階の反応により,D_<3h>対称性をもつ平面ホウ素化合物を合成することができた.また,同様の合成手法により,ホウ素を二つ含む平面型ジボラアントラセンの合成も達成した.X線結晶構造解析により,これらがほぼ完全な平面構造であることを確認するとともに,立体保護がないにも拘わらず,実際に空気や水に対しても極めて安定であることを示した. (2)基礎物性の評価:得られた骨格の電子受容性を評価する目的でサイクリックボルタンメトリーを測定した.二段階の可逆な還元波を示し,安定なラジカルアニオンおよびジアニオンの生成することを明らかにした.また,これらの化合物はDBUやDABCOなどのかさ高い塩基とは反応しないが,フッ化物イオンとは反応し,対応するフルオロボラートを生成することがわかった.この結果は,強固な平面骨格をもつものの,依然十分なルイス酸性は合わせもつことを示す結果である.滴定実験により求めたフッ化物イオンに対する会合定数はK_a=7.0×10^5M^<-1>であり,これまでに報告されているトリアリールボランと同等の値であった.
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Research Products
(2 results)