2009 Fiscal Year Annual Research Report
ベンゼン系反応性中間体の新規遷移金属触媒反応の開発
Project/Area Number |
09F09053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
檜山 爲次郎 Kyoto University, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HSIEH Jen-Chieh 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 遷移金属 / ベンゼン系反応中間体 / 炭素-水素結合活性化 / 炭素-炭素結合活性化 |
Research Abstract |
ベンザインをはじめとするベンゼン系反応中間体を利用する新しい合成反応が国内外で活発に研究されており,天然物の全合成にも応用されるなど,新しい分子骨格構築法として近年非常に注目されている.本研究では,遷移金属触媒を利用したベンゼン系反応中間体の新しい発生方法と反応制御法を開発して,新しい炭素骨格構築反応の開発とその応用を行っている.平成21年度は,アリールニッケル種をベンゼン系反応中間体として扱い,Ar-Ni結合への分子内アルケンのエナンチオ選択的な配位挿入反応を検討した.分子内にオレフィン部位を有するシアン化アリールをニッケル/AlMe_2Cl協働触媒存在下,いろいろな光学活性配位子を用いて反応させたところ,ホスフィノオキサゾリン配位子i-Pr-Phoxやi-Pr-Foxapを用いた場合にアルケンのAr-Ni結合への配位挿入が良好なエナンチオ選択性で進行し,不斉四級炭素を有する光学活性ニトリルが収率よく得られることをみつけた.ベンゼン環上やオレフィン部位にハロゲンやシリルエーテルなどの官能基を含んだいろいろな置換基を有するベンゾニトリル誘導体を用いても,本反応は官能基選択的に進行して,対応する環化体が良好な収率およびエナンチオ選択性で得られた.得られた光学活性インドリン誘導体は,医薬品や生理活性を有する天然物の合成に利用できる可能性があるので,本反応はきわめて有用な有機合成反応である.次年度以降,本手法を発展させて,光学活性オキシインドールをエナンチオ選択的に合成する手法を確立し,生物活性アルカロイドの触媒的不斉全合成を実施する予定である.
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Research Products
(1 results)