2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09055
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相田 卓三 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PRAVEEN Vakayil 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 自己組織化 / ナノチューブ / 有機ラジカル / 分子グラフェン / 磁性 / 電子スピン / 超分子ポリマー / ナノファイバー |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは、磁気・電気的性質を有する1次元自己組織化ナノ材料を構築することを目的としている。そのために、有機ラジカルであるニトロニルニトロキシドを付与したヘキサベンゾコロネン誘導体1を含成し、その自己組織化について検討した。その結果、ある条件下で、表面に電子スピンが高密度に集積したナノチューブが形成することを見出した。ニトロニルニトロキシドは、金属イオンに対する配位能を有する。そこで、1をコバルト錯体とともに同時自己組織化を行うと、興味深いことに、金属がない場合に比べ、約8分の1の時間で自己組織化してナノチューブを形成することを明らかにした。さらには、ナノチューブの表面には、ほぼ当量のコバルトイオンが集積していることを、原子吸光測定より明らかにした。これは、1からなるナノチューブを作製後にコバルトイオンを添加する、いわゆるポストファンクショナリゼーションによる金属集積とは対照的であり、この場合には、同時自己組織化の場合に比べ、約半分しか集積されていなかった。 次に、同氏は、これらのナノチューブを用いて磁化率の測定を行った。その結果、1とコバルト錯体の同時自己組織化によりコバルトイオンがより高密度に集積されたナノチューブにおいては、ポストファンクショナリゼーションにより作製したナノチューブに比べ約2倍程度大きな磁気感受率を示し、さらには、1次元磁性体に見られるような、興味深い磁気挙動を示した。以上のように、同氏は、これまで主に結晶系で行われていた分子磁性に関する研究を、分子集合体のようなソフトな材料に展開し、うまく分子をデザインすることにより金属-有機ラジカルの1次元鎖を構築し、それによる興味深い磁気挙動の発現を実現した。
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