2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09065
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷垣 勝己 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FAN Xiaoyan 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | グラフェン / 電界効果トランジスタ / 化学修飾 / 欠陥 / 荷電不純物 / キャリア散乱 |
Research Abstract |
グラフェンは単原子層グラファイトに与えられた名称でありバンドギャップがゼロの半金属である。フェルミ準位近傍の線型なバンド分散によりグラフェン中の電荷キャリアは相対論的な粒子として振る舞い、非常に高いキャリア易動度を有する。そのために高速電子素子への応用が期待されているが、バンドギャップを有さないためにトランジスタを作製したとしてもオフ状態を作れないという問題点がある。理論的予測によれば、グラフェン表面上に化学修飾を行えばπ結合が壊され、sp^2からsp^3への再混成が起こることで有限のバンドギャップが生じる。この点において、グラフェンの化学修飾は応用上非常に重要な意味を持つ。このような化学修飾はこれまでにグラフェンと近しい構造を持つ単層カーボンナノチューブに対して数多くの報告例があり、そういった研究で既に得られている知見を利用することが有効と考えられる。本年度は簡便な溶液処理により化学修飾可能なアリールジアゾニウム塩を用い、グラフェンの諸特性に対する化学修飾の効果を調べた。修飾前後のグラフェン試料を顕微ラマン分光測定で評価することにより、アリール基のグラフェン表面への化学結合を確認した。また、電気的特性(電界効果トランジスタの伝達特性)を調べることで、アリールジアゾニウム塩のカチオンがグラフェン表面に残り荷電不純物として作用している可能性が示唆された。グラフェン表面への化学修飾に伴う電気的特性の変化を調べた例は数少なく、本研究結果は重要な意味を持つ。将来的には、電子素子を作製する上で避けて通れないものの一つである電極との接合効果について、応用可能性のある化学修飾後のグラフェン素子を用いて調査していきたい。
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Research Products
(1 results)