2009 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物ナノ構造体における気相光触媒分解による超高速水素生成
Project/Area Number |
09F09069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松重 和美 Kyoto University, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SADALE Shivjaji 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 酸化タングステン / 光触媒 / ナノ微粒子 / 水素発生 / 可視光王応答 / 気相光分解 / メタノール / ホルムアルデヒド |
Research Abstract |
今年度は、可視光応答型光触媒として知られる酸化タングステン(WO_3)のナノ微粒子膜の作製とその評価を推し進めた。タングステン酸、過酸化水素水、超純水、及び分子量300のポリエチレングリコール(PEG300)を混合した溶液をガラス基板や透明導電膜基板上に塗布し、焼成を行うことで、WO_3薄膜を作製した。様々な成膜条件を試した結果、粒径が20~30nmと比較的均一な微粒子から構成されるWO_3薄膜を得るに至った。また、このナノ微粒子膜の紫外可視吸収スペクトルを測定した結果、吸収端の波長が長波長側に向かって伸びており、可視光応答性の向上を示唆する結果が得られた。 引き続き、作製したWO_3ナノ微粒子から成る薄膜の光触媒活性の評価を行った。高真空下に導入した微量の気相メタノールの光分解過程の実時間観測を試みた結果、WO_3上での紫外線照射の有無と同期して、ホルムアルデヒド(CH_2O)や二酸化炭素(CO_2)の分圧が増減することを確認した。これらはメタノールの分解によって生じる物質であり、紫外線照射に伴う各分圧の変化はWO_3薄膜の光触媒作用による気相メタノールの分解に起因している。従来、光触媒に関する研究例は溶液中に浸した試料に対して行う場合が多く、本研究のような気相反応系で光触媒分解過程を観測した例はきわめて珍しい。今後、この実験を継続することで複雑な光触媒反応過程の解明につなげたい。 以上の結果により、本研究課題の目的である金属酸化物ナノ構造体による光触媒活性の発現・機構解明と、それを用いた新しい水素発生源の開発に向けて、有用な知見を得るに至った。
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