2010 Fiscal Year Annual Research Report
脆弱な組積造建物の耐震補強を推進する工法の開発とその普及法に関する研究
Project/Area Number |
09F09083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中埜 良昭 東京大学, 生産技術研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAVARATNARAJAH SATHIPARAN 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 組積造構造物 / 石積み組積造 / PP-band工法 / 応用要素法 / 数値解析 / 耐震補強 |
Research Abstract |
平成22年度には、技術的なアプローチとしては、前年度に振動台が故障したために実施できなかった不整形石を用いた1階建て組積造建物と2階建てアドベ組積造住宅に対するPP-バンド(ポリプロピレン製の紐)耐震補強工法の効果の検証を行った。その結果、両者の場合において、PP-バンド耐震補強工法によって耐震性を大幅に向上できることが分かった。加えて、PP-バンド工法によって耐震補強された組積造住宅の動的挙動を正確にモデル化するために、構造物の破壊現象まで追跡可能な先端的の数値解析手法であるAEMを用いた組積造建物の数値解析ツールの改良を行った。 耐震補強を推進する社会的アプローチに関しては、発展途上国の社会状況に特に注意を払った災害リスク認識の創生と耐震補強促進制度を提案した。具体的には、世界各地の建物の特徴や建設環境をまとめた米国地震工学会(EERI)のWHE(World Housing Encyclopedia)のデータを基に、建物を取り巻く環境を人々の収入と建物コストの比、都市化のレベル、耐震基準の整備状況や施工時の品質管理のレベル、建物のタイプなどから4種類に分類した。次に、それぞれの分類に合った4種類の耐震補強推進制度を提案した。これらの制度はいずれも、将来の地震被害を劇的に減少させるとともに、耐震補強を取り巻く関係者の地震時の出費(市民、行政、地震保険業者、耐震補強業者、などの視点から)を大幅に軽減させる制度であり、全ての関係者はに耐震補強の推進にインセンティブを与えるものになっている。
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Research Products
(4 results)