2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血球系安定細胞株を用いた化学物質リスク評価システムの開発
Project/Area Number |
09F09091
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松永 是 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MORI Tetsushi 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | ヒト血球系安定細胞 / 化学物質リスク評価 / 造血幹細胞 / 細胞培養チップ |
Research Abstract |
本研究では、ヒト血球系安定細胞株を樹立し、各血球細胞に対する化学物質のリスク評価システムを開発することを目的としている。本年度は、各血球細胞の安定細胞株樹立に先立ち、様々な血球細胞への分化が可能なヒト造血幹細胞に着目し、この細胞の長期培養及び分化制御技術の確立を目指した。さらに化学物質リスク評価を視野に入れた細胞培養チップの構築に着手した。 希少細胞であるヒト造血幹細胞は非常に高価であり、また、長期培養や未分化維持の制御が困難であると言われている。本研究では、臍帯血からCD34陽性細胞として分離されてきた画分を用いて、ヒト造血幹細胞の獲得と長期培養を試みた。細胞表面マーカーに対する抗体染色、及びFACSにより解析した結果、多分化能を保持していると考えられるヒト造血幹細胞の割合がわずか3-4%の割合で存在していることが明らかとなった。そこで、本画分をソーティングにより回収した後、様々な培養条件(接着因子、培地組成、サイトカイン等)を検討した。その結果、ヒト造血幹細胞の細胞数を2週間でおよそ4倍、増幅可能であった。さらに、細胞培養チップの開発においては、単一細胞レベルで細胞捕捉が可能なデバイスと組み合わせた細胞培養チップを構築し、血球細胞の培養に成功した。 本研究によりヒト血球系安定細胞株の樹立において、遺伝子導入を行うために必要な十分量の造血幹細胞の獲得が可能となり、今後は安定細胞株の作製に取り掛かる。さらに、ヒト血球系安定細胞株を捕捉した細胞培養チップにより、化学物質リスク評価に向けた検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)