2009 Fiscal Year Annual Research Report
衛星データを用いたボルネオ熱帯降雨林生態系サービスの評価
Project/Area Number |
09F09097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北山 兼弘 Kyoto University, 農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LANGNER Andreas Johannes 京都大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 衛星データ解析 / 熱帯降雨林 / 地上部バイオマス / 生態系サービス / 森林劣化指数 / 炭素貯留量 / 持続的森林管理 / アルゴリズム開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人工衛星のデータを用いて熱帯降雨林生態系サービスの評価手法を確立することである。熱帯降雨林生態系は急激に減少・劣化しており、その生態系サービスの供給機能の劣化も懸念されている。熱帯降雨林の生態系サービス(機能)として、地球規模で重要な意義を持つものに、純一次生産、炭素貯留(バイオマス)、生物多様性の保護(生物種のハビタット形成)が挙げられる。原生状態での林冠木の光合成活性や種多様度は、林冠からの分光反射に反映される。また、森林が伐採などによって劣化すると、林冠の一部が開放し地表の土壌が反映されて分光反射特性が変化する。そこで本研究では、衛星から捉えた分光反射と地上で測定した生態系の属性の関係に基づいて、これらの生態系サービスやその劣化度を評価するアルゴリズムを開発する。マレーシア・サバ州(ボルネオ島北部)内陸部にある、伐採によって劣化状況が様々に異なる熱帯降雨林試験地を訪れ、ここに置かれている多数の地上調査区の位置情報をGPSにより入手した。これらの調査区の光学衛星データ(ALOS AVNIR-2)を用い、異なる分光反射バンドを組み合わせた指数と他の研究者によって得られた森林地上部バイオマスや森林劣化度との関係性を解析した。その結果、林冠の開閉度を赤と中間赤外のバンドを用いて指標し、森林の健全度を中間赤外で指標し、さらにこれらの指標の組み合わせから森林劣化度を算出した。森林劣化度と地上部バイオマスの間には高い相関関係が認められ、ここで開発した森林劣化度を用いると熱帯降雨林生態系サービスの評価を広域に実施できる可能性が示された。これらの成果は日本生態学会において発表した。
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