2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウナギ塩類細胞における浸透圧受容・シグナル伝達機構に関する研究
Project/Area Number |
09F09099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹井 祥郎 The University of Tokyo, 海洋研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TSE William K. F. 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | TRPチャネル / 浸透圧調節 / 鰓 / 浸透圧受容体 / Ostf1 / 塩類細胞 / メダカ / 遺伝子ノックダウン |
Research Abstract |
淡水と海水双方によく適応する広塩性魚は、海水に移動すると鰓の塩類細胞を発達させ、体内に流入するNaClを濃縮して排出することにより高い浸透圧環境に適応する。そのトリガーと考えられる環境浸透圧あるいはイオンの受容体、および受容体からさまざまな輸送体遺伝子の発現にいたる情報伝達系は海洋生物の浸透圧調節において最も興味深いテーマであるが、まだほとんどわかっていないのが現状である。そこで、ウナギの塩類細胞で浸透圧に反応して発現が上昇するOsmotic transcription factor 1(Ostf1)を同定したTse博士と共に、浸透圧受容体からOstf1の発現にいたる情報伝達経路を明らかにすることを試みている。本年度は、ゲノムデータベースが確立されており、淡水と海水双方によく適応するメダカを用いて、これまで浸透圧受容体として示唆されているCalcium-sensing receptor(CaSR)とTransient receptor potential vallinoid type(TRPV)遺伝子をデータベースから同定した。また、浸透圧に反応して発現が上昇する転写調節因子であるOstf1とTonicity induced binding protein(ToniBP)のホモログを複数同定した。メダカではOstf1が2種類のパラログとして存在し、双方が浸透圧に反応するが、特にOstf1bと名付けた新しいパラログがメダカを海水に移すと数十倍にまで上昇した。また、これらの遺伝子は鰓で発現していることがわかった。そこでin situハイブリダイゼーションでこれらの遺伝子が鰓の塩類細胞で発現しているかどうかを調べ、鰓で局所的に遺伝子をノックダウンすると海水適応能が低下するかどうかを現在調べている。
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