2010 Fiscal Year Annual Research Report
細菌べん毛モーターのトルク発生と回転方向スイッチのメカニズム
Project/Area Number |
09F09101
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
難波 啓一 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAI Fan 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | べん毛モーター / 回転メカニズム |
Research Abstract |
細菌べん毛モーターは回転子、固定子、軸、軸受け、反転制御装置からなる、直径約40ナノメートルの超分子モーターである。細胞膜を横切る電位差とプロトン濃度差によって、固定子でもあるイオンチャネルを通して細胞外から細胞内へ流れ込むプロトンのエネルギーにより、回転子と固定子の構成蛋白質間相互作用がトルクを発生し、毎分2万回転もの高速で回転し、らせん型プロペラのべん毛繊維を回転させて菌体の推進力を発生する。最近は分子モーターの回転計測技術の進歩によって、時間分解能10マイクロ秒、空間分解能1ナノメートルでの計測が可能になり、回転角度10数度のステップが観測できるようになった。同時に、細胞内外のプロトン濃度や膜電位を制御しつつ計測できるようになり、モーター動作を制御した上での様々な計測が可能になりつつある。 Bai Fan研究員は、べん毛繊維に小さなビーズを付着させ、その回転運動を顕微鏡と高速カメラで記録することにより、べん毛モーターの回転速度、スイッチ、トルクなどを様々な条件で計測した。そのデータから、双方向回転するべん毛モーターの反時計回り・時計回りの持続時間と反転スイッチの頻度を解析し、細胞ごとやモーターごとに大きなばらつきがあることを確認し、モーターの反転制御に関わるシグナル蛋白質CheY-Pの発現量のばらつきや、多数の蛋白質分子集合体としてのモーター自体の構造的なばらつきがきわめて顕著であることを明確に示した。そして、その大きなばらつきが時々刻々変化する環境に対応して生存確率を高く保つために重要であることを示した。この成果はPhysical Biologyに投稿し受理された。
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Research Products
(9 results)