2009 Fiscal Year Annual Research Report
パキスタンの野生種・在来種イネを利用したコメの栄養性改善
Project/Area Number |
09F09105
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 朋之 Kyoto University, 農学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHAN NADAR 京都大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | イネ / 多様性 / 貯蔵タンパク質 |
Research Abstract |
コメは全世界の約半数以上の人々が主食とする重要な食糧であり、特にアジアの発展途上国においては貴重なタンパク源でもある。しかしながら、必須アミノ酸であるリジンが不足しており、栄養性が劣る。また、全タンパク質の80%を占める主要貯蔵タンパク質グルテリンには、栄養性と並び重要な食品機能である食品加工特性や生理機能性は見出されていない。そこで本研究では、栽培イネ種子の栄養性などの食品機能を改善するために、野生イネ等から優れた遺伝資源を見出して利用することを目的とした。これまで野生イネ等は、病害虫抵抗性遺伝子や環境ストレス耐性遺伝子など栽培上有用な遺伝資源を有するものとして注目されてきたが、食品機能の優れた遺伝資源を野生イネ等の中から見出して利用しようとする研究は極めて少ない。そこで、まずは研究代表者と外国人特別研究者らがこれまでに開発してきた独自のタンパク質実験系を用いて、研究代表者らによる13種の野生イネと2種の栽培イネにおけるグルテリンの多様性に関する先行研究を継承した。本年度は(1)上記タンパク質実験系において、我が国の農業生物資源研究所ジーンバンクにおいて選定された世界のイネ・コアコレクション(世界各地の栽培イネ0.sativa約3万点から来歴情報等に基づいて約300点に絞り込み、RFLP分析により対立遺伝子の多様性を90%カバーするように選定された69品種)を用いて、0.sativaにおけるグルテリンの種内変異を解析した。その結果、グルテリン組成に変異がある系統が数種見出された。一方(2)パキスタンにおける野生種・在来種イネ多様性を調査する目的で、パキスタン由来の約300系統のタンパク質組成を予備的に調べた。結果については解析中である。
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