2010 Fiscal Year Annual Research Report
耐力壁と半剛節骨組みが一体となった木構造の解析法の開発
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09F09116
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小松 幸平 京都大学, 生存圏研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WEN-SHAO Chang 京都大学, 生存圏研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 土壁 / 伝統木造建築 / 組物 / 摩擦 / 柱の傾斜復元力 |
Research Abstract |
[研究の目的] 日台両国は共に地震多発国であり、伝統木造建築物の耐震性に関する研究は重要な共通テーマである。本研究では、このような背景から、実在する台湾型伝統木造建築物の構造要素を抽出し、静的並びに動的実験を通して、構造要素の架構全体への寄与を定量的に明らかにすることを目的とした。 [研究実績」 1)試験体の縦横比を様々に変化させた土塗り壁の静的正負繰り返し加力実験を行った。台湾型土壁では1/60rad変形時に最初のクラックが発生したが、最大耐力は1/20rad.時に発現した。一方、日本型土壁では1/60rad変形時に最大耐力が発現し、それ以降は荷重が低下する傾向が見られた。日本型の場合、貫を入れるのに対し、台湾型伝統土塗り壁では貫を入れないので、その違いが大変形時の両土壁の挙動に影響を及ぼしている可能生が考えられた。 2)台湾型組物を試験体とし、上載荷重を3段階に変えて水平加力実験を行い、組物の摩擦の影響が水平剛性に大きく影響することを確認した。次に同じ形式の組物を2連組み合わせて小型の屋根架構を再現し、その小型の伝統屋根架構試験体を振動台の上にボルトで固定して、屋根荷重(綱板を載荷)増加による摩擦の効果が屋根架構の動的挙動に及ぼす効果を調べた。その結果、屋根荷重が増加するにつれて、試験体の固有周期は減少する傾向を示した。一般的に伝統系の木造建築物の固有周期は3~4Hz程度の柔らかいものであるが、屋根構造のみを採りあげた本実験のような場合は、6~9Hzというかなり「硬い」構造であることが分かった。これは組物が摩擦によってかなり剛に結合され、架構全体として一つの塊のように挙動していたことを示唆している。また、減衰常数は4~8%程度の値を示し、振動レベルが大きくなるにつれ、減衰が大きくなる傾向が見られた。 3)台湾南部のPingtung郡に建設された"鍾氏宗祠"と呼ばれる鍾家所有の寺院(1995年に解体)から採取された実際の屋根架構を試験体とし、上載荷重を4段階に変化させて静的水平加力実験を行った。履歴ループは柱の傾斜復元力の影響が大きく、1/10rad.でも殆ど損傷は起こらない粘り強い性状が確認できた。
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Research Products
(3 results)