Research Abstract |
1)バングラディシュの家畜飼養におけるシュウ酸中毒の潜在的危険性についての調査 バングラディシュの畜産農家において実際に給与されている飼料用植物(27種,63試料)を収集し,シュウ酸含量を測定して,当該地域の家畜飼養におけるシュウ酸中毒の危険性の程度を調査した。その結果,セタリアを除いてはすべて,可溶性シュウ酸含量が中毒危険レベルの2%(乾物あたり)以下であり,急性毒性については,特に注意を要しないものと思われた。 2)セタリアの生育に伴うシュウ酸含量の変化について セタリアの1番草および再生草について,シュウ酸とこれに関連するミネラルの含量を調べた。その結果,1番草の生育に伴って可溶性シュウ酸の含量は低下し,生育初期で最高(4.6%)を示し,子実形成期で最低(1.5%)を示した。葉部は茎部より高い値を示した。再生草は常に4%を越す含量を示した。シュウ酸含量はミネラルの含量と一定の相関を有していた。これらの結果は,セタリアの反芻家畜への給与に当たっては,多くの場合,シュウ酸中毒に注意を払わなければならないことを示している。 3)ネピアグラスへのCa施肥が緬羊における採食性および血中ミネラル含量に及ぼす影響のついて Ca施肥により,ネピアグラスの可溶性シュウ酸含量が低下した。採食性,体重,血中Mg濃度には影響が認められなかったが,血中Ca濃度は,Ca無施肥のネピアグラスを採食したものより高かった。これらの結果は,ネピアグラスへのCa施肥が,緬羊におけるシュウ酸中毒の危険性を低める可能性を示唆する。
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