2010 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱物質の哺乳類雄性配偶子に対するエピジェネティック効果の評価
Project/Area Number |
09F09123
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本道 栄一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
EHN-KYOUNG Choi 名古屋大学, 生命農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / ゲノム修飾 / 雄性配偶子 / DDE / Flutamide |
Research Abstract |
内分泌撹乱物質の世代を越えた影響について、2005年にAnwayらが報告して以来、内分泌撹乱物質の新たな脅威が浮き彫りになった。つまり、一度暴露を受けてゲノムに修飾が起こると、それ以降の暴露に関わらず後代にわたって受けたゲノム修飾が維持されるのである。この新たな脅威に対し、下火になっていた内分泌撹乱物質の研究が再燃することとなった。結果、親世代でゲノムに修飾を受けた雄性配偶子が次世代へと受け継がれていく事例がいくつも報告された。我々は本研究で、特に有機塩素系殺虫剤(DDE)とFlutamideのDNA修飾に関する作用を検討した。妊娠した親(第0世代)(胎子は生殖腺形成期)に対し、DDEおよびFlutamideを投与した。本投与は一度きりであり、生まれた子(第1世代)に対し、また第2、第3世代に対してのDDEおよびFlutamideの投与は一切行わなかった。従って、最初のゲノム修飾は、第1世代が胎子の生殖腺形成期にあるときに起こる可能性が高い。そこで、バイサルファイトシークエンス法により、予想されるDNAメチル化領域の解析を行った(lysophospholipaseを含む)。結果、どの遺伝子に対してもDNAの修飾は起きていなかった。一方、第1世代から第2世代の精巣(性成熟に達した後に解析)に形態学的な変化は見られなかったのに対し、第3世代で突然出現してきた事実があるので、ゲノムが変化していることに疑いの余地はない。ゲノムワイドのDNAメチル化解析、もしくはヒストン化学修飾の解析によりその原因が明らかにされるに違いない。
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