2009 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱物質の哺乳類雄性配偶子に対するエピジェネティック効果の評価
Project/Area Number |
09F09123
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
本道 栄一 Yamaguchi University, 農学部, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHOI Ehn-Kyoung 山口大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 内分泌かく乱物質 / ゲノムメチル化 / 次世代への影響 |
Research Abstract |
内分泌かく乱物質の生体への作用に関する研究は、10年ほど前にかなり活発になされてきたが、生体でおきた現象とその原因の関係について、直接的な因果関係を証明することが極めて難しかったことから、現在まで次第に下火になってきている。ところが近年、内分泌かく乱物質のひとつであるvinclozolinが、世代を越えてその影響を残すことが報告されて以来、ゲノムのメチル化によるエピジェネティック作用の研究の進展とあいまって、内分泌かく乱物質のゲノム修飾に及ぼす影響が問題視されるようになった。本研究では、抗アンドロジェン作用を持つ各種内分泌かく乱物質のゲノム修飾における作用つまり次世代への影響を検討することを目的として、特に本年度は作製した動物の表現系の変化を形態学的に検討した。使用した内分泌かく乱物質は、有機塩素系殺虫剤(DDE)、Flutamide,である。これらを胎子期のマウスに腹腔内投与し、生まれたマウスを第0世代とし、第0世代同士を交配させて第1世代、さらに第1世代同士を交配させて第二世代を作製した。最終的に第三世代まで作製した。これらマウスの精巣は一部、来年度の次世代シーケンサーを用いたChip-on-Seqに供するものとして保存し、それ以外の精巣については、光学顕微鏡による形態観察の後、TUNEL法を用いてアポトーシスの誘導が起きているかどうかの検討を行った。今回は用いた2つの薬物のすべての世代でアポトーシスが誘導された細胞の数が有意に増加していた。このことは表現型だけからみても、内分泌かく乱物質の一部には世代を越えるものが存在することをしめしているが、一方、表現型に変化がなくても世代を越えたゲノムの変化が引き起こされる危険性も示している。この蓄積は世代を越えた後に表現型として現れる可能性もある。したがって、内分泌かく乱物質の作用はゲノム修飾の点から再評価されるべきであるという結論に達した。
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Research Products
(5 results)