2011 Fiscal Year Annual Research Report
消化管寄生線虫感染におけるPON-1の減少機構とその重要性
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09F09124
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
堀井 洋一郎 宮崎大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABDEL-ALEEM Ayman 宮崎大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | Trichinella spiralis / paraoxonase-1の減少 / pro-inflammatory cytokine / 腸管寄生線虫 / 動脈硬化 / 酸化LDL / IL-10 / 脂肪肝 |
Research Abstract |
PON1活性の低下は動脈硬化のリスクファクターの重要な部分を占めるが、高脂肪食や肥満も同様に動脈硬化のリスクファクターである。近年、寄生虫感染の多い開発途上国においても一部に肥満や動脈硬化の増加が知られている。しかし、寄生虫感染と動脈硬化の関連に関してはあまり知られておらず、我々は旋毛虫(Trichinella spiralis)感染ラット血中のでのPON1活性の変化、脂質プロファイル、酸化ストレスの程度を測定した。血清中のPON1活性は感染後2日から7週まで有意に減少し、それに伴いトリグリセリドやLDL/VLDLの増加が確認され、HDLは減少した。旋毛虫感染は酸化ストレスの指標であるSODやマロンジアルデヒドの増加をもたらした。旋毛虫感染は長期に及ぶことから、抗動脈硬化作用の強いPON1活性が低下することは大きなリスクであると考えられる。次にこれらのPON1活性の低下に関与する機構を調べてみると、感染ラットでは肝組織においてIL-1β、IL-4、IL-6、TNF-α、MCP-1、MIP-1αおよびTGF-β1 mRNAの増加とPON1 mRNAの減少が、感染後2日から2週にかけて認められた。一方、7週目からはIL-10の急激な増加がみられた。これらの結果は、旋毛虫感染のごく初期(腸管内感染期)から肝臓でのプロインフラマトリーサイトカインの増加によりPON1産生が障害され、感染後期(筋肉期)にはIL-10の急激な増加により炎症が抑制されることを良く説明している。また研究課題から少し離れるが、PON1活性の測定技術を応用して、乳牛の脂肪肝の診断法を確立した。
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Research Products
(4 results)