2010 Fiscal Year Annual Research Report
消化管寄生線虫感染におけるPON-1の減少機構とその重要性
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09F09124
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
堀井 洋一郎 宮崎大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABDEL-ALEEM Ayman 宮崎大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | Nippostrongylus brasiliensis / paraoxonase-1の減少 / pro-inflammatory cytokine / Trichinella spiralis / 動脈硬化 / 酸化LDL / 腸管寄生線虫 |
Research Abstract |
PON1活性の低下は動脈硬化のリスクファクターの重要な部分を占めるが、高脂肪食や肥満も同様に動脈硬化のリスクファクターである。近年、寄生虫感染の多い開発途上国においても一部に肥満や動脈硬化の増加が知られており、これらの因果関係を知るために、昨年度は高脂肪食給与動物に寄生虫を感染させ、PON1活性の変化と脂質の酸化について検討した。Nippostrongylus brasiliensis感染では感染期間が短いため、さらに感染期間が長く、人の感染症としても重要な寄生虫の感染モデル候補を検討したところ、Trichinella spiralis感染がラットに顕著かつ長期間(7週間)に渡ってPON1活性の低下を引き起こすことがわかった。ラットでのPON1活性の変化は寄生虫が腸管内にのみ存在する腸管寄生期と成虫が腸管から排除された後、産出された幼虫が筋肉内に侵入する時期の両方でみられ、異なる寄生部位の虫体がPON1活性の低下を引き起こすことがわかった。この間のサイトカイン産生を調べると、PON1活性の低下にほぼ一致してプロインフラマトリーサイトカインの上昇が確認された。一方、T.spiralisをマウスに感染させるとPON1活性の低下は感染後2日のみに一過性にみられたのみで、速やかに正常値に復活した。マウスではラットに比較して感染初期のIL-10活性が高いことから、このサイトカインがPON1活性の低下に関わる肝臓障害を調節しているとの仮説を立て、現在サイトカインによる調節機構を継続的に検討中である。
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Research Products
(3 results)