2009 Fiscal Year Annual Research Report
防護服着用作業者の暑熱ストレス評価のための標準テスト方法の開発
Project/Area Number |
09F09128
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栃原 裕 Kyushu University, 大学院・芸術工学研究院, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Joo-young 九州大学, 芸術工学研究院, 外国人特別研究員
|
Keywords | 直腸温 / 鼓膜温 / 原子力防護服 / 熱中症 |
Research Abstract |
原子力施設内での作業は放射線被曝や汚染を防止する防護服の着用が必要であるが、防護服は蓄熱しやすく、透湿性が悪いため、作業中は産熱や発汗により衣服内が高温多湿状態となり、熱中症の発症リスクが極めて高い。この対策として作業員の鼓膜温や心拍数を計測して遠隔的に健康状態を監視する方法が提案されている。本研究では主たる熱中症管理の指標である直腸温と鼓膜温の時間的変動の関係性を調査し、鼓膜温測定システムが有効であるかを明らかにすることを目的とした。男子学生8名を被験者とした。防護服はTシャツと短パンを着用する(Control条件(Co)、上から一般的に現場で用いられている透湿性のあるタイベックスーツを着用するTyvek条件(Ty)、さらに重ねて透湿性のないビニールスーツを着用するVinyl条件(Vi)の3種の着衣条件をとした。相対湿度50%の実験室内の気温を25℃と32℃とし、椅座位を60分間続ける安静条件と20分間の走行2回を含んだ運動条件の計12条件を行った。運動条件では原子力施設での作業負荷を想定した50%VO2maxである7km/hの走行をトレッドミルを用いて行った。また、32℃のVinyl条件の走行条件は熱中症発生のリスクが高いため、1回目の走行後に実験を終了した。透湿性が低くて温熱ストレスが高まりやすいビニール製の防護服を着用した際は、負荷の重い作業や軽作業でも32℃の高温環境下での作業では鼓膜温が直腸温より上昇して高温に達する性質を考慮して、作業員の健康状態の管理を行う必要があることが判明した。
|