2009 Fiscal Year Annual Research Report
(-)-レセルピンの全合成;Pd(II)の触媒的環化反応を用いる新規合成
Project/Area Number |
09F09130
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上西 潤一 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MENDU Narender 京都薬科大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | (-)-レセルピン / 全合成 / β-カルボリン / アルカロイド / 触媒的環化反応 / Pd触媒 / 分子内メタセシス / 選択的反応 |
Research Abstract |
レセルピンはラオルファアルカロイドの一種であり、強い降圧作用を有し臨床現場でも用いられている有用な医薬品であり、本研究は、このβ-カルボリン骨格を有するレセルピンの全合成に関する研究である。この半年間に、次に記載する方法で6-メトキシインドール骨格からβ-カルボリン骨格を完成する事ができた。 (1)市販の3-メトキシアニリンからジアゾニウム塩を経由し、既知の反応により6-メトキシトリプタミンに導いた。 (2)次にインドールの2位に不斉転写の元となるキラルなアリルアルコールを導入しなければならないが、その前に2位にブロモ基の導入の必要がある。この過程で多くの試薬を試みた結果、ピリジンHBr_3試薬を用いる事で高収率でブロモ基が可能になった。そして、鈴木反応を用いて、光学活性なアリルアルコール部分を有するアルケニルボロン酸エステルとPdを用いるクロスカップリングにより環化前駆体の合成を達成した。 (3)次に、アミノ基の保護基をフタリミド基からBoc基に置き換えて、鍵反応であるPdを用いる環形成反応を行なったが環化は起きなかった。そこで、インドール環の窒素の保護の必要性があると考え、これをCbz基で保護したところ、環化は収率よくおこりβ-カルボリン骨格に誘導する事が出来た。 (4)得られた化合物は1位にアルケニル基が置換しているが、これを用いて更に環構築を行った。窒素上の置換基を3-ブテノイル基に置き換え、グラブス触媒を用いる分子内メタセシス反応を用いて増環が達成された。
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