2010 Fiscal Year Annual Research Report
(-)-レセルピンの全合成:Pd(II)の触媒的環化反応を用いる新規合成
Project/Area Number |
09F09130
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上西 潤一 京都薬科大学, 薬学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MENDU Narender 京都薬科大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | (-)-レセルピン / 全合成 / β-カルボリン / アルカロイド / 触媒的環化反応 / Pd触媒 / 分子内メタセシス / 選択的反応 |
Research Abstract |
インド蛇木から得られるラオルファアルカロイドの一種であるレセルピンは、強い降圧作用を有し臨床現場でも用いられている有用な医薬品である。本研究は、このβ-カルボリン骨格を有するレセルピンの全合成に関する研究であるが、この1年間に、次に記載する方法でβ-カルボリン骨格を含む4つの連続する環骨格を完成する事ができた。しかしながら、インドール環からβ-カルボリン骨格に至る環形成を伴う1,3-不斉転写はインドール環内窒素の効果により、大きく低下する事が判明した。この現象は予測できなかった事であったが、窒素上の電子対によりN-アシルイミニウムカチオンが寄与しているものと考えられた。そこで、インドール窒素上の保護基をtert-BuOCOからより電子吸引性の強いCF_3SO_2に換えて反応を行ったところ、選択比が2:1にまで向上した。 一方、環化体はアルケニル基を1位に有する事から、2位N上のBoc置換基を3-ブテノイル基に置換し分子内メタセシス環化を行って非共役環状エノンを得る事が出来た。得られたアルケンを塩基により異性化して共役エノンとし、D環部の合成を完成した。 これに、Diels-Alder反応を行えれば、E環部が合成できるのであるが、驚いた事にDiels-Alder反応は高圧、マイクロウエーブ、ルイス酸などあらゆる条件下でも、まったく起きなかった。そこで、モデル反応でも試みたがDiels-Alder反応はまったく起きなかった。マイケル反応による炭素ユニットの導入と親電子剤による捕獲により炭素鎖の導入を検討中である。
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