2009 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞作製を目的とした細胞内動態解析に基く効率的非ウイルス型遺伝子法導入開発
Project/Area Number |
09F09131
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋田 充 Kyoto University, 薬学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WIJAGKANALAN Wassana 京都大学, 薬学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Dendrimer / TAT peptide / Endosomal escape / Nuclear localization / Gene delivery / Non-viral vector |
Research Abstract |
効率的な遺伝子発現に向けた多機能性遺伝子デリバリーキャリアにおいては、プラスミドDNAの縮小化、細胞取り込み、エンドソームからの脱出ならびに低細胞毒性が具備すべき重要な課題である。アミノ酸であるリジンの分岐構造を有するリジンデンドマー、とりわけリジンデンドリマーのリジン末端をアルギニンで修飾したデンドリマーがこれまでエンドソーム脱出能を有する効率的な遺伝子導入キャリアであることが報告された。本研究では、アルギニン修飾リジンデンドリマーに膜透過能をと核移行能を有するTAT配列を結合させた新規遺伝子導入キャリア、TAT-PEG-アミノ酸デンドリマーを合成した。TAT-PEG-アミノ酸デンドリマーの分子量は、約7700であり、約20mVの正電荷を示したが、市販の遺伝子導入試薬であるLipofectamine2000やjetPEIに比べ、マウス繊維芽細胞株、NIH3T3に対して低細胞毒性であった。電荷比(+:-)1:1以上において、TAT-PEG-アミノ酸デンドリマーは完全にプラスミドDNAと複合体を形成し、ヌクレアーゼによる分解を完全に抑制した。しかしながら、遺伝子発現は十分高い値を示さなかった。適度な正電荷は細胞吸着・取り込みに重要な因子であると考えられる。そこで、TAT-PEG-アミノ酸デンドリマー/プラスミドDNA複合体をさらにアミノ酸デンドリマーと電荷比(-:+)1:5で三元複合体を形成させたした。TAT-PEG-アミノ酸デンドリマー/プラスミドDNA/アミノ酸デンドリマー三元複合体は、ミュータント配列のTAT-PEG-アミノ酸デンドリマー/プラスミドDNA/アミノ酸デンドリマー三元複合体ならびにプラスミドDNA/アミノ酸デンドリマー複合体に比べ、有意に高い遺伝子発現を示した。以上、遺伝子導入能に優れる新規多機能型遺伝子導入キャリアの開発に成功した。
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