2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規対イオン-ポルアルギニン併用系を用いた光親和性標識による細胞内相互作用の検出
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09F09132
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二木 史朗 Kyoto University, 化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SILVIA Pujals 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | アルギニン / 膜透過ペプチド / 細胞内相互作用 / 光アフィニティラベル / ジアジリン / 対イオン |
Research Abstract |
本研究の目的は細胞内での代謝や情報伝達、言い換えれば細胞内での分子相互作用を検出するための手法を開発することである。本年度はこの目標達成のために、まず、細胞外環境での光反応性架橋の条件に関して確立することを目指した。トリフルオロメチルジアジリンフェニルアラニンを光反応基として用い、さらに架橋された膜関連分子をストレプトアビジンやアビジンを用いて単離するためにビオチンを導入したアルギニン12量体(R12)をベクターとし、光架橋のための最適な条件を検討した。アルギニンに富む細胞内移行ベクターが結合するタンパク質を解明することは、細胞透過性ペプチドの内在化機序がよく分かっていないために、非常に重要で興味ある課題である。細胞膜と強い相互作用を示すR12ベクターを生理活性分子とし、光反応性修飾基に関しては、フェニルアラニン誘導体を用いたが、これは標準的なFmoc固相合成法でペプチド鎖の特定の位置に導入出来るので有用であった。このペプチドとHeLa細胞とを様々な条件下にインキュベーションした後、紫外線照射を行い、細胞を溶解後架橋された分子を単離し、標的となったタンパク質を質量分析等で解析した結果、R12の内在化に関与している受容体が明らかとなった。この結果は。アルギニンに富む膜透過ペプチドの細胞内移行に関わる細胞内情報伝達に関しての詳細な理解につながる新しい道筋を開くものとして非常に有意義なものと言える。一方、光架橋団を有するペプチドの細胞内導入効率に関して検討した結果、従来良好な結果を治めていた対イオン分子を用いる方法を用いても満足する結果が得られなかったので、更に効率よく細胞内に光架橋団を有するペプチドを導入する方法に関して現在検討中である。この方策の一つとして、様々な非天然型骨格を持つ膜透過ベクターとのタンパク質を容易に調製する方法を開発した。
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