2009 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病発症機転における受容体活性化CaチャネルTRPC6蛋白質の役割解明
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09F09134
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
井上 隆司 Fukuoka University, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHI JUAN 福岡大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | TRPC6 / リン酸化 / カルモジュリン依存性キナーゼII / 神経変性 / Ca^<2+>過負荷 / パッチクランプ法 / 免疫組織化学 / パーキンソン病 |
Research Abstract |
来日時(平成21年8月中旬)より今日までの約八ヵ月間に、以下の三点について研究を進めた。1.TRPC6チャネルのカルモジュリン依存性キナーゼ(CaMKII)のリン酸化による制御分子機構の解明を行った。CaMKIIのリン酸化モチーフのアラニン置換体を作成し、リン酸化に関与する責任部位の同定をパッチクランプ法で行った結果、II-III細胞内ループにある487番目のthreonineのリン酸化が、TRPC6の活性化に必須であることを見いだした。更に、この分子機構が、血管由来細胞A7r5においても作動していることを確認した。この機構は、中枢におけるCaMKIIが果たす役割を考慮すると、記憶・学習などに関与する可能性のある極めて重要な分子機構であることが予想され、パーキンソン病における脳機能障害との関連が考えられる。今後は、この点について、神経細胞を用いて検討する。2.CaMKIIによるリン酸化を長期間阻害すると、TRPC6の自発的な活性化が生じ、細胞障害的なCa^<2+>過負荷が起こることを見出した。これも、神経細胞の変性を惹起する機序として、パーキンソン病発症に関わる可能性があり、今後神経細胞における検討を行う予定である。3.免疫組織化学的検討によって、ラット脳質内にコルヒチン、6-OHDAを注入して、黒質における神経変性を惹起すると、これに併行して、TRPC6の発現増加が起こることを見出した。この機序は、2の実験結果とも関連して、パーキンソン病発症過程に重要な寄与をしている可能性が考えられる。平成22年度は、これらの結果について、神経細胞(急性単離及び一次培養系)における検討を行う予定である。
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Research Products
(4 results)