2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09135
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAVCHENKO Alexander 新潟大学, 医歯学系, 外国人特別研究員
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Keywords | Pentraxin 3 / 好中球 / マクロファージ / 虚血性心疾患 / 特殊顆粒 / 血栓 / 低酸素 / HIF-1α |
Research Abstract |
Pentraxin 3(以下PTX3)は急性期蛋白のCRPと同様にpentraxin famiyに属する分子であり、マクロファージ、好中球など種々の細胞から産生され、炎症や免疫における役割が想定されている。本研究では心筋梗塞患者の冠状動脈内血栓におけるマクロファージと好中球におけるPTX3の発現を検討し、さらにマクロファージと好中球におけるPTX3の動態および低酸素の影響についてin vitroの培養系で検討した。 心カテーテルで採取した虚血性心疾患患者の冠状動脈内血栓の好中球を抗CD15抗体で、マクロファージを抗CD204抗体で免疫染色し、さらにPTX3の抗体でも検討した。血栓中には好中球が多く、新鮮血栓では好中球におけるPTX3の発現が強かったが、時間の経過につれて減弱した。マクロファージではPTX3の発現は軽微であった。 PTX3はマクロファージでは細胞質に発現するが、好中球ではlactoferinと共存することから特殊顆粒に局在した。interleukin 8を添加して好中球を培養するとPTX3陽性細胞が減少し、培養液中のPTX3濃度が増加したことからPTX3は好中球から放出されるものと考えられた。LPS刺激では、PTX3産生放出はマクロファージより好中球が多いことが判明した。好中球は炎症刺激によってアポトーシスに陥った。その他、崩壊した好中球から放出されたDNAによってneutrophil extracellular traps [NETs]と称される網状構造物が形成された。その構造物にはPTX3とlactoferinが結合していることが蛍光二重染色で確認された。さらにhypoxia-inducible factor-1α (HIF-1α)が動脈硬化病巣のマクロファージや好中球に発現していることを見出し、低酸素は血栓中の細胞のPTX3に影響を与えることを示唆する所見を得た。好中球の培養液中にPTX3のdimerが認められ、好中球のmonomerが放出されdimerになったものと考えられ、心筋梗塞後のPTX3上昇は好中球からの放出である可能性が示唆された。以上、本研究によって好中球がPTX3を強く発現し、虚血性心疾患に関わることが示唆された。
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Research Products
(5 results)