2010 Fiscal Year Annual Research Report
併用療法における有望な抗マラリア薬標的としてのチミジル酸合成酵素
Project/Area Number |
09F09136
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
石井 明 浜松医科大学, 医学部, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MUREGI Fw 浜松医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 抗マラリア薬 / 葉酸代謝酵素 / Plasmodium berghei NK65 / 薬剤抵抗性 / 5-フルオロオロト酸 / アポトーシス |
Research Abstract |
5-フルオロオロト酸(FOA)抵抗性マラリア原虫の生物学的特性の解析を目的とした。Petersの方法(2%血虫率再燃法)で作製されたFOA抵抗性原虫に感染したマウスは、最終的には死亡したが、未処理原虫感染群との間に生存期間の違いが認められた。未処理原虫感染マウスは感染後1週から2週の間に死亡したが、FOA抵抗性原虫に感染したマウスは3週から4週以上生存した。このことは、FOAに対する抵抗性は、原虫の増殖を抑制するとともに病原性も減少させたことを意味する。薬剤刺激は原虫の病原性を減弱させたと推論される。FOA抵抗性が宿主ではなく原虫への有害な効果を与えたことは、原虫のTSを標的とする薬剤の研究および臨床応用を促進すると思われる。FOA抵抗性原虫感染マウスの血液塗抹標本で、細胞質の減少や細胞全体の委縮を伴った、あるいはクロマチン濃縮が認められる原虫が観察された。これらの形態学的特徴はアポトーシスと思われ、透過型電子顕微鏡観察および電気泳動法による分析を行った。透過型電子顕微鏡下での観察では、原虫発育の初期段階である「輪状体や初期栄養体」では、FOA抵抗性原虫と薬剤未処理原虫には明らかな形態的差異は認められなかった。しかしながら、「成熟栄養体や分裂体」の時期では、FOA抵抗性原虫と薬剤未処理原虫の間に顕著な形態的差異が認められた。FOA抵抗性原虫は、クロマチンの凝集や細胞内小器官の微細構造を消失が認められた。また、FOA抵抗性原虫から抽出したDNAの電気泳動パターンは、DNAラダー(はしご状の断片)を示しアポトーシスを起こしていることが示唆された。 予定していたマラリア感染ザルの治療実験に関しては、京都大学霊長類研究所等で発生した「ニホンザル血小板減少症」(京都大学霊長類研究所報告書、2010年11月11日付)のため、NBR事業推進室から本学動物実験施設へのニホンザルの供給が禁止され、今年度内での治療実験は断念した。
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Research Products
(3 results)