2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗ウイルス薬スクリーニングためのインフルエンザウイルスレプリコンシステムの開発
Project/Area Number |
09F09137
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
北里 海雄 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GE F. 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | プロテオミクス / MIP-T3 / 細胞骨格タンパク質 / シャペロン |
Research Abstract |
当該申請研究の目的は抗ウイルス薬の研究のためのインフルエンザウイルスレプリコンシステムの開発である。ウイルスの感染宿主での複製に様々な宿主細胞因子が必要となる。TRAF3は感染細胞におけるインタフェロン誘導などの宿主の自然免疫応答のシグナル伝達制御において中心的な役割を果たすタンパク質として知られている。微小管結合タンパク質であるMIP-T3はTRAF3の結合タンパク質として同定されており、細胞骨格やTRAF3の機能調節に関与する可能性が示唆されるが、その分子機能は不明である。当該年度に実施した研究では、外国人特別研究員が得意とするプロテオミクスの技術を生かし、抗ヒトMIP-T3の抗体を用いた免疫沈降法とプロテオミクス技術との組み合わせにより、ヒト細胞内でMIP-T3が特異的に作用する因子(インタラクトーム)の同定を行い、その作用分子のネットワークの解析を行った。その結果、従来に報告された結合タンパク質のチューブリンの他に、アクチンなどの細胞骨格成分やシャペロンであるhsp70,90などのヒトショックタンパク質ファミリーも同定された。さらに、免疫共沈法や共焦点レーザースキャン顕微鏡による細胞内局在などの解析により、MIP-T3はアクチンとHsc70との結合が確認され、得られた関連タンパク質は実際細胞内で相互作用している可能性を示した。34種類の同定された結合タンパク質の中に細胞骨格タンパク質は37%、シャペロンタンパク質は23%、核酸結合タンパク質は10%、シグナル伝達関連キナーゼは8%などが含まれており、MIP-T3は多彩な生物学機能を有し、特にインフルエンザウイルスの感染複製に必要な細胞骨格とシャペロンタンパク質であるhsp70, hsp90ファミリーとの結合が確認されるなど、ウイルス複製レプリコンの機能に関与する可能性が示唆された。この研究はMIP-T3の機能解析の方向性を示したのみならず、今後ウイルス複製レプリコンシステムの研究におけるMIP-T3の機能の解析にも道を開いたと考える。
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Research Products
(1 results)