2009 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルス感染過程におけるヌクレオプラスミン/B23の機能
Project/Area Number |
09F09138
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
永田 恭介 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAMAD M.D.Abdus 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | アデノウイルス / ヌクレオホスミン / B23 / クロマチン |
Research Abstract |
アデノウイルス(Ad)はおよそ36kbpの線状二本鎖DNAをゲノムに持ち、エンベロープを持たない正二十面体の粒子である。AdゲノムDNAの未端はTPと呼ばれるタンパク質と共有結合しており、ウイルス由来の塩基性コアタンパク質VおよびVIIと複合体を形成してAd coreと呼ばれるクロマチン様構造をとる。これまでに試験管内において、B23はコアタンパク質V、VIIおよびVII前駆体と相互作用し、DNAとコアタンパク質の凝集を防いで、コアタンパク質をDNAに受け渡す活性を持つことが示されてきた。すなわち、B23はAd coreを再構築し、AdゲノムDNAの粒子へのパッケージング過程に関わると考えられる。しかし、感染細胞内におけるB23の機能は明らかとなっていない。そこでまず始めに、siRNAを用いてB23をノックダウン(KD)したHeLa細胞を用いて、Ad感染への影響を検討した。その結果、コントロール細胞に比べてB23KD細胞では、感染24時間後の子孫Ad粒子産生量は減少したにも関わらず、Ad遺伝子の発現量には影響がなかった。また、クロマチン免疫沈降法によりコアタンパク質とAdゲノムDNAの相互作用を検討したところ、コントロール細胞に比べてB23KD細胞ではコアタンパク質とAdゲノムDNAの相互作用が顕著に減少していることが明らかとなった。以上の結果から、感染後期において、B23がAd coreの再構築に関与していることが示唆された。
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