2009 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞機能におけるNF-kB非古典的経路の役割に関する研究
Project/Area Number |
09F09145
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大谷 啓一 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NIROSHANI Soysa 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | NF-kB / 破骨細胞 / 骨吸収 / 創薬 / NIK / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
破骨細胞におけるNF-kBの活性化経路は従来明らかとなっている古典的経路であるp50-RelAが核移行する経路と、近年明らかになってきたNF-kB inducing kinase(NIK)を経てP52-ReIBが核移行して転写活性がず上昇する非古典的経路(alternative pathway)に大別される。すでにNF-kB古典的経路が破骨細胞の機能発現に重要であることを明らかにしているが、非古典的経路に関しては十分な情報がない状況である。我々はこの点に注目して破骨細胞におけるNF-kB非古典的経路の役割を解明する研究を計画した。本年度は研究の初期段階としてNF-kB inclucing kinase(NIK)を欠損するマウス(Aly/Aly)の骨における表現形の解析を行った。Aly/Alyマウスの大腿骨・脛骨をDEXA,マイクロCT,pQCTにより骨塩量測定を行い、さらに非脱灰切片を用いて、骨形態計測を行ったところ、野生型マウスに較べて骨端部の骨密度増加が観察され、大理石骨病様の形態変化を示した。骨形態計測法により詳細な観察を行ったところ海綿骨量、骨幅、海綿骨数の増加が認められた。細胞レベルでは破骨細胞数の減少とともに骨芽細胞数の増加、石灰化速度(MAR)の増加、骨形成量(BFR)の増加が認められた。以上の結果は、NF-・Bに至る非古典的経路(alternative pathway)の重要な因子であるNIが欠損すると破骨細胞機能が障害を受け、その結果骨吸収機能が抑制されて、骨量が増加することを示唆している。NIKはNF-kBの非古典的経路の活性化プロセスにおいて重要な役割をしていることから、本検索の結果は非古典的経路が破骨細胞の分化増殖や機能に関与していることを示している。今後さらにAly/Alyマウスにおける機能変化をin vitroの系において追求することにより、その変化を起こすメカニズムの解明を計画したい。NF-kB非古典的経路の重要性を明らかにすることにより、破骨細胞を創薬標的とした新しい薬物候補の探索が可能になると思われる。
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Research Products
(7 results)