2009 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト・メソポタミア・ギリシア・インドの天文学と占星術の文化交流
Project/Area Number |
09F09202
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
矢野 道雄 Kyoto Sangyo University, 文化学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ROSS M.T. 京都産業大学, 文化学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 天文学 / 占星術 / エジプト / ギリシア / メソポタミア / インド / ホロスコープ / 12宮 |
Research Abstract |
エジプト、メソポタミア、ギリシア、インドの天文学と占星術の伝播と比較という本研究課題に関連して、過去4カ月だけでもかなりの進展があった。ホロスコープの起源がギリシアとバビロニアのいずれであるかという長年の議論に対して新しい洞察を得ることができた。これに関する論文において、ギリシアのホロスコープは、バビロニアの出生時における前兆占いと、エジプトの時刻法とを合成した結果であることを明らかにした。もう一つの論文では、エジプトのMedinet Madi村で発掘されたホロスコープを解読し、解説を加えた。本年1月24日に、日本科学史学会京都支部例会で、エジプトの「デカン」がいかにしてギリシア、インド、アラビア半島へ伝播し、変形していったかを説明した。Medinet Madi出土の陶片と比較するために、Rossは矢野とともにYavanajatakaを中心とするサンスクリット文献を研究するようになり、とくに後者の宝石に関する部分(II.257)が注目すべきであることが判明してきた。 様々な文化圏で用いられた天文学と占星術の座標(12宮、36デカン、27宿など)を比較することによって、他の分野では得られないような特別な洞察を得ることができる。まず、同じ天文定数や、類似の占星術理論が別の文化圏で用いられている場合、これらを比較することによって、文化接触の具体的な例をあげることができる。ギリシア語とサンスクリット語は比較的よく知られている言語なので、これらの言語で書かれた文献の研究は、メソポタミアとエジプトの資料の解読にきわめて有益であることがわかった。とくにエジプトの資料とサンスクリット文献は、ギリシアのプトレマイオス以前の天文学・占星術要素を残しているので、この時代のギリシアの天文学・占星術の復元に大いに寄与することが明らかになった。
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Research Products
(6 results)