2010 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト・メソポタミア・ギリシア・インドの天文学と占星術の文化交流
Project/Area Number |
09F09202
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
矢野 道雄 京都産業大学, 文化学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ROSS M.T. 京都産業大学, 文化学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 天文学 / 占星術 / エジプト / ギリシア / メソポタミア / インド / Pingree / Yavanajataka |
Research Abstract |
エジプト、メソポタミア、ギリシア、インドの天文学と占星術の伝播と比較という本研究課題に関しては、サンスクリットで書かれたYavanajatakaが最も研究対象としてふさわしいことがわかったので、本年度は、矢野がRoss氏にサンスクリット文法を教えながら、並行してYavanajatakaの講読を行ってきた。その間に、Ross氏はこのテキストの中に、氏が専門とするエジプトの天文学・占星術の要素のいくつかを抽出し、比較するようになった。またYavanajatakaの100年後に成立したVrddhayavanajatakaにはYavanajatakaと比較するべき要素が多いことがわかったので、Ross氏はこのテキストを詳細に分析すべく、Pingree教授が出版したVrddhayavanajatakaの電子テキスト化に着手した。しかしPingreeの出版本は不鮮明な部分が多々あるので、信頼できる電子テキストを準備するには教授が拠り所とした写本を確認する必要があることが判明した。そこで矢野はブラウン大学へ出張し、Pingree教授が収集した写本を調査・確認し、そのうちいくつかの重要なものをデジタルカメラに収録した。この調査で、Pingree教授自身もYavanajatakaとVrddhayavanajatakaの比較研究を意図していたが未完成に終わったことを確認した。サンスクリットの天文学・占星術文献はギリシアのプトレマイオス以前の天文学・占星術要素を伝えているところにその特徴があるが、その起源であったと思われるギリシア語の文献は、ほとんど残っていない。しかし陶片やパピルスに書かれたエジプト語の断片的な文献にインドと類似する要素が見られるということが、Ross氏の調査によって次第に明らかになりつつある。
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Research Products
(5 results)