2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木田 章義 Kyoto University, 文学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MIERKAMALI Ayidaer 京都大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 現代ウイグル語 / カザフ語 / 古代ウイグル語 / 日本語文法 / 比較文法 / 存在詞 |
Research Abstract |
本年度は4ヶ月しかなかったので、Mierukamali氏の研究は「現代ウイグル語文法」に使用された日本語文法の枠組みを理解することに主眼をおいた。だいたい日本語文法の枠組みを理解することができたので、これからこの基準のもとに、「現代ウイグル語文法」の改訂をおこなう。 この改訂作業では、カザフ語との比較も行っているが、カザフ語は古態を保つことが多いので、ウイグル語の文法現象と古代語の間に、カザフ語を置くことによって、より正確な分析が可能となることがわかった。MIERKALI氏の古代ウイグル語、現代カザフ語、現代方言に関する知識が深いので、たいへん、大きな成果が期待できる。現在、MIERKAMALI氏は、敦煌出土の古代ウイグル語の文献とプリンストン大学所蔵の文献の研究も行っており、近々、論文を発表する予定である。 次年度から本格的に取り組む、「現代ウイグル語文法」の文法組織については、日本語の文法を基準にするのであるが、ウイグル語の変遷を考慮することによって、日本語文法の枠組みも変更する必要があると思われる。 たとえば、日本語では「存在詞」という分類はあまり採用されることがないが、チュルク語の文法の中では、「存在詞」という品詞を設ける方が、より体系的な記述が可能になりそうである。チュルク語では「活用」がないので、助動詞に相当するものは接尾辞になる。しかし文章に着く接尾辞については、それを「存在詞」と括るのがよりふさわしいのではないか。そうなれば、日本語の文法の方でも、「存在詞」を入れて、再構築してみる必要もでてくるのである。
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