2010 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカの農業開発における社会文化的制度的要因―日本の教訓を踏まえて
Project/Area Number |
09F09207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 真人 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FABUSORO ENIOLA 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 森林管理 / 持続可能性 / 管理制度 / 農業開発 / 自然資源 / 土地利用 |
Research Abstract |
本年度は、10月に熊本県小国町の第2回目の現地調査を実施した。調査目的は、主として森林の管理体制が持続的な森林管理および林地の変化に及ぼす影響についてであった。また、農業協同組合の管理体制が農作物および家畜の生産、加工、流通に及ぼす影響についても合わせて調査を行った。聞き取りの対象は、町役場の森林担当者、農協、森林組合、山林の個人所有者などであった。また、7月から9月にかけて、ナイジェリアのオグン州で同様の聞き取り調査を行った。ナイジェリアでの聞き取りの対象は、州政府森林省、およびアベオクタ農業大学の森林研究者などであった。調査結果から得られた基本情報は、すぐれた管理方法と確固たる制度の有無が、農業パフォーマンスと自然資源管理に大きな影響を与えているということである。日本の森林管理が高い持続性を発揮しているのに対して、ナイジェリアの森林管理制度は行き届いておらず、森林保護管理政策が効力を発揮していない。貧弱な管理制度がナイジェリアの森林枯渇をもたらしている。日本もナイジェリアもよりよい農業・森林資源管理を行う能力を持っているが、とりわけナイジェリアに関しては、既存の農業・森林管理制度のパフォーマンスを向上させるために、制度の機構再編が必要とされている。なお、ナイジェリア農業開発に関しては、7月にオーストリアのウィーンで開催された国際農業システム学会(IFSA)シンポジウムに参加して報告を行った。また、10月にはアメリカのアリゾナ州立大学で開催されたグローバル陸域研究プロジェクト(GLP)オープン科学会議において、小国町調査の報告を行った。学会誌には、小国町の持続的森林管理と土地利用の変化に関する論文、ナイジェリア・オグン州の森林枯渇と管理に関する論文等を投稿し、現在、審査結果を待っているところである。
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Research Products
(3 results)